ノドのガンが心配な人に、唯一の対処法を専門医が教えます

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【関連動画】https://youtu.be/9Bdu4t6CS-Q?si=gBgSMTRPfXXsKyb5
【参考文献】https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8090.html
https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/article-abstract/2814665
♯新潟 #耳鼻科 #富田耳鼻科

0:00 タイトル
1:17 ①首の腫れ
2:20 体重減少
2:52 ②声がれ
3:38 含み声
4:20 ③1か月以上続く違和感
5:03 ④お酒飲み、喫煙者、50才以上
5:31 ⑤ビール1杯で顔がすぐ赤くなる人
6:58 小括
7:36 耳鼻科受診の注意点
8:28 予防方法
10:01 まとめ

今日はノドの癌、咽頭や喉頭がんについてお話しします
皆さんが喉の違和感があった時には、もしかして・・・
癌だったらどうしようって真っ先に考えるのではないでしょうか

こんな場合は素直に耳鼻科を受診することをお勧めします
喉の癌はお腹などの癌と違って、開業医の耳鼻科でも簡単に見つけることができます。
ノドは口や鼻から直接診ることができるからです。
設備の整った病院で行われるctや MRI 胃カメラなどの検査は、喉の癌の発見には必要ないのです。
耳鼻科で鼻からのファイバー検査を希望すればすぐにしてもらえます。
数分でノドに癌があるかないかがわかります。

でも病院に行く時間がない。今すぐにでも喉のがんの不安を無くしたい、
このような場合は、この動画を見て頂ければ、ノドのがんの初期症状や要注意な場合がわかります。
ノドの違和感が、がんかどうかを判断できて、安心できるはずです。
動画の最後にはのどのがんの予防法についてもお話しますので、
是非最後まで動画をご覧ください。

このチャンネルでは、頭頸部がん治療を20年間行ってきた専門医がみみ、はな、のどの医療の正しい情報を発信しています

本日お話しする内容です

首が腫れてきた、普通に食べているのに体重が減っているならガンを疑う
声が変わった、声が枯れている時も要注意
1ヶ月続く喉の違和感なら病院で診てもらおう
50代以降で、お酒を飲んで、タバコを吸う人は要注意
でも一番怖いのは ビール1杯で顔がすぐ赤くなるフラッシャー
癌が心配な時、耳鼻科受診はこうしよう
中咽頭がんの予防は人パピローマウイルスワクチン接種


わたしは、診察の前の問診の時点で、この人の喉には癌がありそうだと辺りをつけることがあります。
それは以下の5つにすべて当てはまる人です。
癌の可能性の高い5つの場合を解説するので当てはまっていないかチェックしていってください。



①最も注意すべき症状は、実は喉ではなく首の腫れです
癌であればどんどん進行してきます。
喉にある癌細胞が進行して、リンパ節に転移し、首が腫れてきます
首が腫れたと言って、受診した患者さんのノドにガンが見つかったという場合は結構多いのです。
そんな患者さんに、喉の症状はありませんでしたか?と聞くと
風邪が治らないと思っていたとか、そういえば喉に引っかかりがあるかもとおっしゃいます。
ノドの症状には、咽頭がんの患者さん自身は気にとめていないことが多いのです。

癌の転移のしこりは、首の前方に出てきます。
口の中やのどからのリンパは、ノド仏の両脇に走っている頸静脈に沿って流れているからです。
のどからのリンパは、首の後ろには来ていません。
なのでのどのガンの転移で首の後ろが腫れることは殆どないんです。
リンパ節転移は、やや硬くスーパーボールのような感じです。
2cm 以上の場合、注意が必要です。
首のしこりについては、こちらの動画にまとめていますので、気になる方は一度見てください。

②体重減小
もうひとつノドではないけど、要注意な症状は、体重減少です。
がん細胞は増殖する力が強いので、たくさんエネルギーを必要として、食べても栄養を取られてしまうのです。
またノドのガンが、大きくなると食べものが通りにくくなり、知らずに食べる量が減ります。
なのでダイエットをしても月に1から2キロ減らすのは大変なのですが、癌が進行した場合、数ヶ月で体重が数キロ減ってしまいます。


③声枯れや含み声などの声の変化

では、首の腫れや体重減少ではなく、のどの症状でがんに特徴的なものはなんでしょうか
ガンを疑うべき症状は、こえがれや含み声などの声の変化です。
喉頭癌では、声をだす声帯に腫瘍ができて声が嗄れてきます。
だみ声のようなかすれこえです。
ふつうは、息を吐くときに声帯がギターの弦のように響いて声が出ます。
がんができると、腫瘍のせいで声帯が響かなくなるので声がかすれるのです。
また、咽頭ガンや喉頭がんが大きくなると、声帯を動かす神経をこわして麻痺させます。
そうすると声帯が動かなくなり声がかすれます。息が漏れるような声です。
食道がんや肺癌などでもこの声帯を動かす神経を麻痺させて、声が枯れる場合があります。
声が嗄れて2週間以上続く場合は、必ず耳鼻科を受診しましょう。

声の変化は、声枯れ以外にもう一つあります
それは含み声やこもった声、鼻に声が抜けるといった、いつもと違う声です。
口の奥や鼻の奥に腫瘍があって、空気の通り道が狭くなると、発声の気流が変化して声質が変わります。
腫瘍のせいでノドの粘膜がむくむと、唾液が絡んで湿ったこもった声になります。
盆正月に、久々に話をした親戚から気づかれる場合もあります
毎日会っている家族は、意外とちょっとした声の変化に気づかないものだからです。
電話で話をした人から、風邪引いた?声がいつもと違うと言われた。
このような場合は、がんの可能性も考えましょう。

④ノド症状がすこしずつ悪くなっているか?

症状が、喉の違和感だけだったら、どうでしょうか?
がんの兆候はわかるのでしょうか?
実は、癌のでき始めの喉の違和感と、風邪症状の喉の違和感を区別することはできません。
この2つを区別するポイントは、どれだけの時間、ノドの症状が続いているかです。
いつ頃から、あなたのノドの症状が続いているか思い出してください。
1から2ヶ月くらい前からノドのつまりが続いていてなかなか治らない。
このような場合は、耳鼻科で見てもらうことをオススメします。
咽頭がんであれば、だんだんと大きくなり、のどの症状が少しずつ悪くなります。
ある日は、のどのつまりがつよくて、ある日はないということにはなりません。
逆に1年以上長く続いている場合は、あまりがんを疑いません。
癌なら進行して、最初に行ったように、半年1年もあれば首のリンパが腫れたり、体重が減ってくるからです。


ノドの違和感が数か月続いていても、若い女性であれば癌は考えられません。
咽頭ガンになりやすい人は、お酒を飲んでタバコを吸う50代以上の男性だからです。
お酒、たばこ、高齢は、咽頭喉頭癌に限らず、あらゆるがんのリスクファクターになっています。
男性でたばこを吸う人は吸わない人の13倍下咽頭がんに、9.6倍喉頭がんになることがわかっています。

お酒を1日2合以上毎日飲む人は飲まない人の10倍下咽頭がんになります。

ビール1杯で顔が真っ赤になっていた、お酒が弱い人ほど注意が必要です。
毎日飲むけど、お酒が弱いから、ちょっとしか飲まない人です。
ちょっとのアルコールでぱっと赤くなるので、フラッシャーと呼ばれます。
このような人は、お酒を飲む量が少なくても、のどのがんのリスクが2.6倍、食道がんのリスクが12倍高くなります。

フラッシャーの方は、遺伝子変異で、お酒を酢酸に分解する酵素があまり働きません。
アルコールの分解が遅いので、少しお酒を飲んだだけで顔が赤くなりやすい体質なのです。
このフラッシャーは日本人の3割をしめます。
この中で危険なのは、昔はほとんど飲めなかったけど、今は飲めるようになった人です。
習慣的にお酒を飲むことで、アルコールに耐性ができます。
本来分解する酵素が少ないのですが、ある程度お酒が飲めるようになるのです。
いまではなく、飲酒を始めた1から2年の時を思い出してください。
この頃にコップ一杯のビールで顔がすぐに赤くなった方はアルコールを分解する酵素の働きが遺伝的に弱いフラッシャーの方です。
このような方が毎日お酒を飲まないようにして、機会があれば飲むくらいにしましょう。

年齢も大事です.
20~30代の方は殆どガンの心配はしなくても良いと思います。。
50代後半から60歳にノドのガンの人のピークがあります。
特に男性は、女性の4から5倍多くなります。
ただし中咽頭癌だけは40歳代の患者さんが多くなります。ウイルスの感染が原因となっているからです。
これについては後で解説したいと思います。

以上、癌の可能性があるので、耳鼻科を直ぐに受診した方が良い場合は、次の5つです。
首の前方にしこりがあると気づいた方
声が2週間以上、かすれている場合
1から2ヶ月以上喉の違和感が続いている人
タバコをたくさん吸ってお酒を飲む50代以上の男性
昔お酒が弱かったけど、強くなって今は毎日飲んでいる人

⑥ このような場合は 近くのクリニックで良いので、耳鼻科を受診しましょう。
内科では扁桃腺の周りは見えても喉全体を見ることができません
耳鼻科にある鼻や喉を見るための内視鏡で確認してもらいましょう
この時 必ず先生にハッキリと喉にがんがないか心配していると言いましょう。
そして、カメラで見てほしいと伝えてください。
全ての耳鼻科で喉をファイバーで初診で見てくれるとは限らないからです。
その理由は、2つの点で、耳鼻科のDrが、患者さんに気を遣うからです。
内視鏡検査は、鼻から入れるので患者さんが辛いのではないか、診察代が1800円余計にかかるので費用が負担にならないだろうか
このように考える先生は、初診の時は、薬を飲んで様子を見てもらう。
それでもノドの症状が取れない場合、2回目の受診の時にはじめてファイバー検査をすることも多いのです。
でも患者さんが、癌が心配でカメラで見て欲しいと素直に言えば、すぐに見てくれます。
今はカメラの性能も良くなり、ノドのとても細かいところまで見ることができます。
超早期のガン以外はファイバー検査でほとんど分かりますので、
心配な方は積極的に検査を受けるようにしましょう。

⑦最後に、咽頭がんにならないためにできること、予防法を2つお話しします。。
1つ目は、お酒タバコを止めることです。
当たり前すぎると思いますが、リスク因子を減らすことが大事です。
野菜や果物、全粒粉の食物を多くとる事も予防になります。
抗酸化物質やミネラル、食物繊維が豊富に含まれているからです。
ジュースやスムージーでは効果が半減します。
水溶性ビタミンが溶けてしまったり、酵素がこわれてしまうからです。
皮のまま食べたり、加熱しないでたべることで、食物繊維も減らないので、生で食べることをお勧めします。

2つ目は予防接種です。
ノドのガンの中で最も多い中咽頭がんは、子宮頸がんと同様にヒトパピローマウイルス、通称HPVの感染で起こることが分かっています。
HPV感染のある人は無い人に比べて5から10倍中咽頭がんが発生する確率が高くなります。
性行為で口腔内に感染し、数十年のちに遺伝子が変化して扁桃腺周囲にガンができてしまいます。
そのため中咽頭癌では、他の咽頭ガンや喉頭癌と異なり、40代から50代の患者さんが多いのです。
これらの感染予防には、HPVウイルスワクチン接種が効果的です。
45歳までなら男性でも行えます。
しかし女性と異なり、補助は、一部の自治体でしかありません。
女性では子宮頚癌の予防だけでなく中咽頭癌の予防にもなりますので、接種対象となる年代の方は必ず受けるようにしましょう。