【すくすく子育て】育児と仕事の両立は "小1の壁"に直面した夫婦「子育てしながらキャリア積みたい」 実現に必要なのは (23/04/08 15:00)

2023/04/08 に公開
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さまざまな角度から子育ての問題を考える、みんテレ子育てウイーク「すくすく」。2回目のテーマは「小1の壁」です。

 小学校入学とともに、子育てと仕事の両立が難しくなるという「小1の壁」。経験者はどのようにして対処してきたのでしょうか。

 40代女性(子ども年長):「『小1の壁』という言葉を聞いたことはあります。いま派遣で働いているけれど、子どもが小学1年生の後半になって、ちょっと落ち着いてからフルタイムの仕事を探そうと思っている。母親が働き方を変えてやっていくしかない」

 40代女性(子ども10代2人):「春休みや夏休みは仕事を一度辞めて、一緒に子どもと過ごした。預かってくれるところもない」

 子どもの小学校入学をきっかけに、子育てと仕事の両立が難しくなる「小1の壁」。主に共働き世帯が直面する課題です。



 保育園は午後10時まで預かってくれるところもあり、フルタイムで働く環境が整っています。しかし、小学校では放課後に学童保育を利用しても午後6時半ごろに閉まるところが多く、働き方を見直す必要が出てくるのです。

 札幌市内で家族4人で暮らす須藤さん一家です。慣れた手つきで水筒にお茶を注ぐ夫と、弁当箱にご飯をよそう妻。

 妻:「おかずはきのうの夜に作って詰めてしまって、起きたらご飯だけ詰める」



 8歳の長男と6歳の長女を育てながら働く、いわゆる共働き世帯。夫は2年前、長男が小学校に上がるのをひとつのきっかけに転職を決めました。

 夫:「長男が家を出る時間まで家にいられるような体制を作った。大きな変化ですよね、僕も同じ壁だった。2人とも働いていて、家事も育児もどちらかがやらなければならない。共感できるものを少しでもたくさん持っておかないと、話題にもならないし大変さもわからない」

 お互いが仕事と家庭の両方に力を注げるよう家事は2人で行い、子どもの送り迎えは曜日で分けて担当しています。



 この日は金曜日。登校する長男を見送ったあと妻が長女を保育園へ送ります。職場に到着したのは午前8時10分でした。

 職場は北海道札幌市の病院で、管理栄養士としてフルタイムで働いています。同じ部署約30人の半数以上が子育て中で、上司の田中さんも2人の子どもを育てながら働く母親です。職場の環境づくりを意識してきました。

 上司の田中さん:「子どもの体調不良で突発的に休むとか、子どもの学校行事はどの学校も同じ時期に同じようなことが起こる。休みたいという声が上げやすい職場じゃないと子育てはできない」

 子どもがいる人も、いない人も互いに支え合える環境を心がけてきました。

 上司の田中さん:「産休を取った人の分頑張らなければいけないのは、残った人に不公平感がどうしても生まれてしまう。子どもを産んで育てることは大変だから、その部分の配慮はするけれど、子どもを持たない人に対する配慮も同じくらいしないと、ひとつの職場として成り立っていかないところは意識してきた」



 「小1の壁」は夫婦の協力など家庭内の努力だけでは解消できません。職場の理解や支援が必要になります。須藤さんは2度の出産を経験し、育休を3年取得しました。

 上司の田中さん:「忘れられないよ。妊娠したって言って泣いたとき。『おめでとう』って言いたいのに『休まなきゃいけない』って泣くんです」

 須藤さん:「望んだ結果なのに、妊娠したらすごく不安になってしまって」

 子育てと仕事を天秤にかけることはできないはずなのに、何とかバランスを取ろうと悩む女性は少なくありません。



 岸田 文雄 首相:「共働き家庭等が直面するいわゆる『小1の壁』を打破することは、喫緊の課題だと認識している」

 岸田首相は3月、壁の解消に意欲を見せました。しかし、問題は単純ではありません。教育評論家の尾木直樹さんは社会全体の体制を整える必要があると指摘します。

 教育評論家 尾木 直樹さん:「社会的ケアがすごく重要。社会的な体制は日本はすごくお粗末。全然整っていなくて、家庭の負担が大きくなっている。社会全体が喜べるような体制づくりが必要」



 須藤さん:「子育てをしながらキャリアを積みたいと思っている。夫も理解してくれているし、私もずっと正社員で続けたい。いろいろなことは考えるけれど、この子たちを産んでこれだけ大きくなってすごく楽。環境が変わって、受け入れていけば大丈夫なんだと思う」

 長女は4月6日、小学校の入学式を迎えます。誰もが「小1の壁」を乗り越えられる社会が強く期待されています。