境界性パーソナリティ症について解説 #境界性パーソナリティ障害 #早稲田メンタルクリニック #精神科医 #益田裕介

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00:00 OP
00:35 境界性パーソナリティ症の特徴
07:10 合併症
08:32 鑑別
09:39 治療の3ステップ

本日は「境界性パーソナリティ症」について解説します。

境界性パーソナリティ症というのはどういう病気なのか、どういう合併症や診断と間違えやすいのか、それから治療法はどういうものなのかをざっくり解説します。

■境界性パーソナリティ症の特徴

境界性パーソナリティ症、昔は「境界性人格障害」と呼ばれていましたが、今は「境界性パーソナリティ症」と呼んでいます。
一緒ですが、呼び方が変わっています。

主に3つの特徴から成り立つ病気です。

・感情調節困難
1つ目は感情調節ができない。
ガッと怒るし、その怒りを止められません。
自分で止めようと思っても止められない。
怒りに支配されてしまう、我を失ってしまう、そして次の瞬間、すとんと空虚な感じになってしまう。
虚しくなってしまうというのがあります。

あとは気分変動です。
気分変動があって、すごく楽しいなと思ったら急に悲しくなったり、2、3時間ごとに気分が変わっていくというのがこの病気の特徴です。
恐らく、感情調節機能が弱いのです。
それは遺伝的な問題としてあるのでしょう、体質的な問題としてあるのでしょう、ということがわかっています。

気分変動性も2、3時間ごと、長くても2、3日なので、双極性障害や双極性障害II型とは違うと言われています。
双極性障害であれば気分が良い時や悪い時というのがもっと長いです。
少なくとも4日以上、1週間、2週間と続いたりします。
だいたいは双極性障害だったら、元気な時は1ヶ月、落ち込んでいる時は2、3ヶ月以上だったりしますが、境界性パーソナリティ一症の場合は2、3時間と短いスパンでアップダウンを繰り返します。
そこが違いだと思います。

元気が出るところ、感情を調整するところのバイオリズムが狂うというよりは、調整機能が弱いので、瞬間的にワッとなって、瞬間的にガッとなってしまう。
上がったり下がったり、ストレスに弱いということなんです。

・自己、対人像が不安定
それくらい気分でワチャワチャするので、それと関係があるかどうかわかりませんが、自己像や対人イメージ、対人像というものが不安定です。
自分はどういう人間なのか、相手はどういう人間なのか、ということが安定せずはっきりとしません。
相手のことがよくわかりません。

だから相手を過度に理想化したり、逆に「あんなのはダメだ」とこき下ろしたりするということが起きます。
対人イメージがすごくぶれるのです。
良い人だと思ったり、悪い人だと思ったりしてしまう。

でも、人間、良い人も悪い人もないんですよね。
職場の人間に対して、良いも悪いもないんです、ただ淡々とやっていますから。
好きとか嫌いさえないし、もう適当ですよ。
適当というか、そういうものはないじゃないですか、素晴らしいとか素晴らしくない、とか。
それが「ある」というのがあります。

この人の中では好きと嫌いで人間関係ができていたりします。
大人はそんなに好き嫌いが人に対してなかったりするのですが、この人の中ではある感じです。
子どもの食べ物みたいなもので、子どもの時は「これがおいしい」「これが嫌い」とかあっても、大人になってくると食べ物に別に好き嫌いはないですよね。
だいたい何でも食べるし、何でもマズイとは思わない。
極端なものは好物があるかもしれないけれど、基本的にはない。
それと同じように、人間関係に対しても基本的には何もないのですが、こういう人たちにはよくあるみたいです。

また、見捨てられてしまうんじゃないか、という不安があります。
自分に対してよくわかってなくて、自分というものが何かの軸がないんです。
不安定だと感じ、自分の将来やりたいこととかそういうイメージもちょっと弱かったりします。

自己像というものが弱いので、ヒステリーみたいな症状を起こすこともあります。
多重人格みたいな感じになったり、ストレスは感じていないが代わりに手足が動かない、目が見えにくくなるなど、身体の方にストレスが出てしまうこともあったりします。

・行動コントロール困難
あとは、行動のコントロールが困難です。
だから自傷をしてしまう。
自殺をするぞ、死んでしまう、という脅しをしてしまう。
結果的にそうなってしまうことがあります。

この脅しも、意図していることもあれば、していないこともあるのです。
恐らく一番最初は脅すつもりもないのです。
ただ死にたいから「死にたい」って言っているだけだと思います。
でもそうすると、周りが動いたりとか、周りがチヤホヤしてくれるようになり、それを覚えてしまいます。
覚えた結果、寂しくなったら「自殺するぞ」と言うようになるようです。
境界性パーソナリティ症が進むとそうなるけれども、初期の段階には、やっぱり死にたいから「死ぬ」と言っていたりします。

理想化とこき下ろしというのも、相手を操作してやろうとしているのではなくて、最初はたぶん何気なくやっていたのです。
それが段々、これをすればするほど相手をコントロールできることを本能的に覚えてしまい、境界性パーソナリティ一症が進むと、これを駆使して相手をコントロールする、というところがあったりするようです。

自傷というのも、最初は見せびらかすつもりでやっていないのです。
頭が不安で一杯になって苦しくなるんです。
そういう時にちょっと切ると、痛みや血が流れているのを見て冷静になることができるのです。

本来はリストカットを見せたくありません。だから隠します。
隠したいから、二の腕を切ったり、お腹を切ったり、太ももの内側を切ったりします。
けれども、段々それを見せたり、それをアピールするというか偶然見られると心配されたりしたことで、そのうちに病み付きになり、それを相手とのコミュニケーションの手段にしてしまうということがあるようです。

境界性パーソナリティ症と一言で言っても、それが病気の初期なのか、それとも10年、20年続いているのかによって違っていたりします。

■合併症

境界性パーソナリティ症の人は合併症が多かったりします。

例えばトラウマの問題。
摂食障害、拒食症だったり、過食嘔吐だったり、摂食障害を合併しているパターン。
あとは薬物依存、アルコール依存、買い物依存、ギャンブル依存のパターン。
あとは他の人格障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、そういう合併が多かったりします。

これも元々の生物由来の問題なのか、それとも人をコントロールするから人を怒らせてPTSDみたいなことになるのか、人を信用し過ぎてしまいついて行ったときに変な男の人に性的な暴行を受けてしまうとかあるのかもしれない。
自分をコントロールできないから、せめて食べ物だけはという形で摂食障害みたいになるのかもしれない。
頭が不安で一杯だからスッキリさせたくてする自傷が依存行為であるように、過食嘔吐も依存であったりするし、アルコールとか薬物も依存だったりします。
依存行為だったりするのでそちらに依存してしまうことがあったりします。

■鑑別

鑑別としては、双極性障害とか双極性障害II型、あとは発達障害、ASD、ADHDと鑑別したりします。
発達障害の合併というのも多いかなという気がします。
境界性パーソナリティ症の人をWAISとか知能検査すると、やはり凸凹があったり苦手なものが多かったりします。
だから発達障害と似ているな、というところもあります。

でも似ているなと言いつつ違いも結構あったり、合併症のパターンもあったりするので、なかなか難しいです。
これもまた5年後、10年後、たぶん診断のやり方などは変わってくると思います。

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一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
   早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介

【自己紹介】
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。

【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 https://www.medsi.co.jp/products/detail/3509
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb130991f3fa4

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