昨日はちょっと夫のドジで私が怒っちゃったので昼間は別行動(^^;)
じゃあ、年末に録画した映画を一本消化しちゃおうということで、ずっと再見したかった作品を。
「蒲田行進曲」(1982年)
はぁ~、これ、公開した時ってまだ私も十代だったんだ。
かなり高評価の作品だったし、もともと美人で有名だった松坂慶子さんと、つかこうへい門下で一気にスターになった風間杜夫さん、そして平田満さんの三主演。
これ、多分公開からちょっと経った弐番館で鑑賞したんですが、序盤にいきなり風間さん扮する銀ちゃんが松阪さん扮する小夏と平田さん扮するヤスの部屋でセックスしちゃうシーンの松阪さんに十代の私はドン引きしてしまいまして(^^;)
あそこがなかったらトラウマにはならなかったんですが。(濡れ場のある映画を観るのは初めてではないのですが、あの描写がどうも)
再鑑賞してびっくりしたのはタイトルが「蒲田行進曲」なのに舞台は東映太秦映画村なんですよね(^^;)
舞台は京都なのに標準語芝居だったから意識してなかったんですが、いま見ると嵐電や映画村や、商店街らしき屋外ロケも多くて、昭和の作品の醍醐味はその土地の風景なんですよねぇ。
大スター銀ちゃんこと銀四郎が土方歳三役で出演する新選組映画は映画村の東映が社運をかけて製作している大作で、金持ちの令嬢と結婚する野心を持った銀ちゃんは自分の子を身籠った落ち目の女優の小夏を舎弟のヤスに押し付ける。
このあたりは理解不能ですが、銀ちゃんを慕うヤスは言いなりとはいえ憧れの女優だった小夏を妻に迎える決意を固めて、大部屋俳優なのにスタントマンまがいの危険な仕事が実入りがいいので休みなく引き受ける。
最初はふてくされていた小夏も優しいヤスにどんどん魅かれて行く。
ヤスの熊本の実家への挨拶に向かうと町をあげての大歓迎に遭い、すべてを見透かしていたかのようなヤスの母親からも「あの子は優しい子だから裏切らんとってね」と泣いてすがられる。
このあたりの描写は、昭和の結婚の段階を踏むことが結婚するということの覚悟を決める大事な儀式だったんだなぁ、と離婚率の高い昨今を考えるとしみじみ感じます。
斬られ役続きの働きまくるヤスを描写するシーンではゲスト出演なんであろう志穂美悦子さんや若い真田広之くん、千葉真一御大が続々登場。しかもアクションシーンけっこう長かった。
ヤス、スタントマンだよ、ほとんど。
これはサービスシーンとはいえ、映画撮影のバックステージとして楽しめました。
そして、社運を賭けた新選組作品のクライマックスの池田屋の階段落ちのシーンを女郎屋か?というくらいのデカいセットを組み立てた監督。(蟹江敬三さん!)
ここから銀ちゃんの土方に切られて転げ落ちる命を懸けた危険なスタントを募集してヤスが引き受ける。
会社から高額な生命保険にも入れられて、受け取り額も大金なのでほぼ自殺する気分で挑む。ホントに大部屋スタントってこんな感じなの?
香港映画の今日から公開されたドキュメンタリー「カンフースタントマン」の内容から見るとこの階段落ちって大したことなさそうに思えるくらい香港映画の方が命張ってるゾ、と思うのですが、あの時代、この作品はこれが見せ場。
社長令嬢とはあまりうまくいかない様子の銀ちゃんは小夏によりを戻したがるけど小夏はヤスを選んで出産に挑む。
このあたりが子を産む女の強さと、命がけで大きな仕事をやりとげる大部屋俳優の晴れ舞台がクライマックスになり、観客を高揚させるんです。
風間杜夫がとにかくハンサムではあるんだけど、ドが付くパワハラモラハラ男で、小夏は銀ちゃんのどこが好きだったんだろう。
セリフでは子供のように純真なところ、と言ってたけど、顔以外良さがわからない(^^;)
ヤスもなぜ銀ちゃんにあんなに慕い続けるのか・・・世話になったからというセリフはあったけど。
原作者のつかこうへいさんの劇団の戯曲としてもともとが舞台作品だったらしいけど、ファンタジーな演出からのクライマックスと、ん?!なラストシーン。
これは悪魔のような子供の話しの「悪い種子」のラストに通じるフィクションを強調するエンディングになってる。
何となくこうやって出演者全員が笑って見送るカットって、多幸感で泣きそうになるんだけど、ちょっとやっぱり頭の中が「?」になるんだよなぁ~。
深作欣二監督はバイオレンスなイメージしかないんだけど、この作品が異色だったのかなぁ?でも、濡れ場はバイオレンスだったしなぁ(^^;)
とにかく松阪さんがお綺麗で、去年NHKでやってたムショ活おばあさんの役を演じた方と同一人物とは思えない~。
時は流れるのね。
駄足。
平田満さんのヤスって香港映画でマニアックに大人気のユンワーさんに似てるとおもうんだけどなぁ~。