佐賀大学とアダマンド並木精密宝石の研究チームは、
人工ダイヤモンドを用いた次世代パワー半導体の作製に
成功したと発表しました。
パワー半導体は、電車や電気自動車、
スマートフォンの充電器などに搭載されている、
電力を制御するための半導体です。
ダイヤモンド半導体は、現在主流のシリコン製に比べ、
理論上、エネルギー損失が低く、高い電圧にも対応できるとして、
「究極のパワー半導体」と呼ばれていますが、
理論値よりも電流の値が極めて低いなどの課題がありました。
研究チームは、アダマンド並木が開発した、
世界最大となる直径1インチのダイヤモンドウェハをベースに、
佐賀大学が考案した、新たな原理で動作する半導体を作製。
これによってこれまでの課題を克服し、
世界最高となる、1平方cmあたり179MWの出力電力を達成した
ということです。
これは、今回開発した直径1インチのダイヤモンド半導体1個半で、
一般家庭30万世帯が使う電力を制御するレベルだとしています。
研究チームは、電気自動車や6Gの携帯基地局などへの応用を視野に、
5年以内の実用化を目指すとしています。
佐賀大学 嘉数誠 教授「アメリカや中国が、すでにこの技術に非常に興味を持っていて、彼らもやろうとしている。研究スピードを加速して5年以内に実用化まで持っていかなければならない。」
※引用元
●論文: Applied Physics Express
M. Kasu, et al. (2021) Fabrication of diamond modulation-doped FETs by NO2 delta doping in an Al2O3 gate layer
https://doi.org/10.35848/1882-0786/abf445
●プレスリリース:佐賀大学のHP
新動作原理によるダイヤモンド半導体パワーデバイスの作製に成功
https://www.saga-u.ac.jp/koho/press/2021042021534