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いよいよ10月から竜王戦七番勝負が開幕です。豊島将之竜王に挑む挑戦者は藤井聡太三冠! 今年の王位戦、叡王戦に続き竜王戦もこの二人の番勝負となりました。両者ともに相手の将棋への理解が深まって熟しきった時期でしょうか。熱い戦いが期待できそうですね。
今回は、このコラムの特別編として、挑戦者になられた藤井三冠の読売新聞オンラインのインタビューを女流棋士目線で見てみようと思います。ちなみに質問のいくつかは、担当記者さんを通じて、私が藤井三冠に聞きたいことを聞いてもらっています。
クリスマスイブ対局、伝説の始まり
Q:まずは藤井三冠にとって竜王戦とは。
A:加藤一二三九段とのデビュー戦など、貴重な経験ができた。毎年本戦トーナメントに出場することができて、普段指せない人と指せる棋戦という印象で、成長できました。
そうでしたよね。藤井三冠のプロデビュー戦は今から5年前。2016年12月24日に行われた第30期竜王戦の6組ランキング戦1回戦、加藤一二三九段とのクリスマスイブ対局でした。現役最年長棋士の76歳の元名人と、その元名人が持つ最年少プロ入り記録を塗り替えた14歳の新星の激突ということで、当時とても話題になりましたね。
この対局は私もよく覚えています。まず対局室の映像を見て、タイトル戦並みのカメラの多さにまず驚き、次に将棋の面白さに心が沸き立ちました。加藤先生の得意戦法である矢倉を後手番で受けて立ってがっぷり四つで組み合い、最後は長手数の即詰みで相手の王様を討ち取る、という横綱同士の相撲のような素晴らしい棋譜。伝説の始まりでした。
最高の戦い、生まれる予感
Q:対戦相手の豊島竜王について。
A:序盤の構想力や中盤の判断力が自分にない長所だと思っている。
こちらは王位戦や叡王戦での戦いを通じて、そう感じられたということでしょうか。確かに王位戦七番勝負の第1局では、豊島竜王が相掛かりの出だしから、わずかなリードを徐々に広げていく素晴らしい指しまわしをされていました。
藤井三冠のこの言葉を聞いて真っ先に思い浮かんだのが、王位戦七番勝負の開幕前日記者会見で豊島竜王がおっしゃった、「藤井さんは特別な才能を持った方だと感じています。自分は一般的な棋士だと思っているので、対局できるだけでもありがたいことだと思っています」という言葉なんですよね。トップ棋士が後輩に対してそういった言葉を語られたことに衝撃を受けましたし、お互いに相手、そして相手の将棋に対するリスペクトを持って臨まれているからこそ、最高の戦いが生まれるのだと思います。
あー、楽しみだ七番勝負!
家での服はまさかの…にやにやが止まらない
そのほかにもインタビューでは、自作パソコンはほぼ中身を変えてないけど、「dlshogi」というディープラーニング系統のソフトを動かすためにグラフィックボードの交換をした? 朝が弱い? 外出しないときは一日服を着替えない? 具体的な中盤強化のための勉強方法??
え、そこまで言っちゃっていいんですか藤井先生!というぐらい盛りだくさんの内容。
そういえば藤井先生の研究パートナーである永瀬拓矢王座も10年ぐらい前に、携帯中継アプリのネット解説は自宅からパジャマでできるから楽しい!って話されていたな…。
オンラインで行われるトップ棋士二人のVS研究会はまさかの両者パジャマで行われているかもしれません。盤上の厳しい戦いとのギャップを想像すると、にやりとしてしまいますね。
動画を見ながら、ぜひみなさまも竜王戦七番勝負を観戦する士気を高めてくださいね。10月8日、開幕です!!