戦う武士の弓、重籐の作り方"Sigedou-Kyu "(rattan strings reinforced bamboo bow)

2020/12/02 に公開
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重籐(しげどう)弓にするため、漆塗りの竹弓に、水に1時間ほど漬けた籐(とう)を巻く映像です。 使っているのは、小西ラタンで購入した幅2mmの皮籐(着色)です。
How to make the ordinary bow to "Sigedou-Kyu "(Japanese lacquer coated and rattan strings reinforced bamboo bow) War bow for the Samurai.

「しげどう」は武士が戦場で使用するために、湿気に弱い竹弓(膠による接着が剥がれてしまう)を漆で防水、さらに籐を巻いて補強した実戦用の弓です。籐をたくさん巻くので重籐、または繁籐と表記されます。


籐の巻き方には様々な故実があり、今回は七五三に巻いて「相位弓(そういきゅう)」にしたかったのですが、下記のように、補修と補強を優先して巻いたため、辻褄が合わなくなってしまい故実には合わず、無法に巻いた状態になってしまいました。

この弓は、小河利八と言う100年前に亡くなった京都の弓師が製作した並寸、弓力13.5キロの黒漆塗でした。弓道でしばらく使い、数百射は無事でしたが、先日、弓道場で「射が小さい」と言うアドバイスをいただいて、思い切って引いたところ、いつになく的中が多く、ご満悦で片付けようとしたところ、大越の乙腰節の下あたりの塗りが割れ、十数センチに渡ってわずかに浮き上がってしまいました。おそらく、この弓に定められていた引尺(並寸の場合は普通85cm程度)を超えて引いてしまったのでしょう。気温の低い中、弓を張ってすぐに的前に立ってしまったのも悪かったのかも知れません(竹弓は使用する少なくとも一時間前に弦を張るとされている)。


そこで、浮き上がった部分に衝撃と曲げに強いと言う強力接着剤(ボンド プレミアム ソフト ウルトラ多用途 SU)を入れて上から薄い黒革をしっかりと巻いてまた接着、さらに籐で補強しました。


ただ、弓のこの部分だけを強くしてしまうと、弓の他の部分にも影響が出るかも知れないと思い、バランスを取るため弓の要所、四箇所(塗りに細い亀裂や膨らみがあった箇所)にも籐を巻いて補強。どうせならと、飾りの籐も加え、重籐の弓にしました。

冒頭と最後の映像に入っている重籐は別の弓です。