量子論:ミクロな世界が示す不思議な性質(波と粒子の二重性・状態の重ね合わせ・不確定性原理)【サイエンス夜話】

2022/03/05 に公開
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私たちが日常生活で見かけるような物体の運動は,物体の運動はニュートン力学によってよく記述できることが知られています.運動の三法則をもとに,地上にあるボールやバネといった身近な物体だけでなく,遠く離れた巨大な天体の運動までも記述できるこの理論を用いると,初期条件さえわかれば原理的には宇宙のすべての物質についてその後の状態を予言できるように思われます.

1812年,フランスの科学者ピエール=シモン・ラプラスは,宇宙にあるすべての物質の状態を知っていて,その未来をすべて予言することのできる超越的な存在を考えました.ラプラスの魔物と呼ばれる存在です.あらゆる物質について物理学にもとづいてその時間発展を記述できるなら,宇宙にあるすべての物質に対して,初期条件をもとにその未来すべてを予言できることになります.宇宙が始まったときから,宇宙の未来はすべて決まっているという考え方です.

しかし,20世紀に入って新たに台頭した理論により,未来を予言することは原理的には不可能であることが示されるようになります.量子論です.量子論は,原子に相当するようなきわめて微小なスケールにおいて,物質を構成する粒子や光などの振る舞いを記述できる理論です.

原子の大きさは10のマイナス10乗メートル程度です.どれくらいのスケールかというと,直径1センチメートルほどのビー玉を地球程度の大きさにまで拡大したとき,ようやく野球のボールと同じくらいのサイズに相当するような,ごくごく小さいスケールです.原子を構成する原子核や電子の大きさはさらに小さいことになります.

量子論では,私たちの日常生活にもとづく常識とは大きく異なる現象が起こることが知られています.たとえば,ミクロな物質や光は波の性質と粒子の性質を併せ持つと考えられています.いわゆる波と粒子の二重性です.また,ミクロな物質や光は,同時に複数の場所に存在することができ,状態の重ね合わせとして表されます.

今回はそんな不思議な性質を示すミクロな世界を記述する量子論について紹介していきます.

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▼▼▼ 目次 ▼▼▼
0:00 導入
3:00 光の波動性と粒子性
7:05 電子の波動性
12:04 状態の重ね合わせ
13:46 二重スリット実験とコペンハーゲン解釈
18:32 不確定性原理
21:28 カシミール効果とダークエネルギー
23:47 トンネル効果:アルファ崩壊と核融合反応


▼▼▼ 関連動画 ▼▼▼
数式なしでもしっかり学ぶ量子力学 - 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」
https://youtu.be/s3uQk3pF3wo

【解説】量子論(前編) - デジタル・サイエンス・アカデミー
https://youtu.be/Kfu-tcv9w5M

【量子力学】ざっくり理解!わかりやすく★前半 - のもと物理愛
https://youtu.be/0l-ZFyWdpFY

ニュートリノ:素粒子の標準理論に修正を迫るニュートリノ振動と宇宙背景ニュートリノ【サイエンス夜話】
https://youtu.be/Fz3OZrTe98A

超ひも理論:宇宙のあらゆる現象を記述する万物の理論の有力な候補【サイエンス夜話】
https://youtu.be/MQLROXXF_B0

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#量子論 #量子力学 #二重スリット実験 #不確定性原理