【ゆっくり解説】深海で生まれるナンキョクオキアミのパラドックス。捕食されるほど増殖する…繁殖において最強の生存戦略とは!?【2024年版】

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こんにちは!今回はナンキョクオキアミについて解説していきます。
間違いなく地球の未来を背負っている生物です。

~下記はざっくりとした動画の内容です~
**オキアミのパラドックス**とは、南極海に生息するナンキョクオキアミという甲殻類が、捕食されるほど個体数を増やす不思議な現象を指します。このオキアミは地球上で最も繁殖に成功しており、絶滅の心配はほとんどないほどの繁殖力を持っています。

さて、ナンキョクオキアミについて詳しく説明しましょう。

. **外見と生態**:
- ナンキョクオキアミはエビに似た甲殻類で、体長は約6センチです。
- この小さな生物は非常に大きな群れを作り、1立方メートルには最大で3万匹も密集することがあります。

. **繁殖力**:
- ナンキョクオキアミは驚くべき繁殖力を持っています。一匹のオキアミが産卵すると、なんと1万匹もの子孫が生まれるとされています。
- そのため、大群であっても個体数は急速に増加します。

. **捕食とバイオマス**:
- 年に少なくとも1億トンのナンキョクオキアミが捕食されています。これは約1兆匹に相当します。
- しかし、ナンキョクオキアミは多いときには総量5億トンにまで数を増やすことがあります。
- このため、動物の総量を示すバイオマスにおいて、ナンキョクオキアミは最も成功している生物と言われています。

. **海洋の炭素循環**:
- ナンキョクオキアミはプランクトンを食べており、その排せつ物には栄養素が豊富に含まれています。
- プランクトンは炭素を貯蔵しており、ナンキョクオキアミがこれを食べることで炭素が循環します。

ナンキョクオキアミは、その小さな体にもかかわらず、驚くべき生存戦略を持っています。さっそく詳しく見ていきましょう。

深海と浅瀬の自由な行き来:
ナンキョクオキアミは深海と浅瀬を自由に行き来できるように適応しています。
このため、浅い海で捕食者に卵を食べられるリスクを避けつつ、深海で育つことができます。
卵の落下と保護:
ナンキョクオキアミは卵を深海で産みます。
更に、その卵を外洋の深海3000メートルまで落としていきます。
これは子供を守るための戦略であり、深海の栄養不足を避けるためです。
成体の寿命:
ナンキョクオキアミの寿命は約6年です。
この小さなエビは、省エネで生き抜く能力に優れています。200日間は餌なしでも生きられるほどです。
脱皮と成長:
ナンキョクオキアミは脱皮による成長が非常に遅いです。
この特性から、小さな体に反して異常に長い寿命を持つことができています。
冬の対応策:
南極の冬になると、飢餓に苦しむナンキョクオキアミは脱皮で体を縮小させます。

南極の厳しい冬に生き抜くナンキョクオキアミは、驚くべき適応力を持っています。さっそく要点を要約しましょう。

南極の食料問題:
冬の南極では海が氷で覆われ、海上から隔離されます。太陽の光が届かないため、植物プランクトンの成長が制限され、食料が不足します。
ナンキョクオキアミは植物プランクトンを主な食料としています。
ナンキョクオキアミの特徴:
体を小さくすることでエネルギー消耗を減らし、冬を乗り越えます。
20μm程度の小型のケイソウを主食としています。
胸の部分にカゴ状の脚を持ち、濾過摂食で食物を摂取します。
対捕食者の戦略:
ナンキョクオキアミは発光する能力を持ち、影を作らないようにして捕食者にバレにくくしています。
クジラがナンキョクオキアミを主な食物としており、シロナガスクジラは毎日2トンも食べることがあるそうです。

南極の生態系は驚くべき循環を持っていますね。ここで要点をまとめましょう。

クジラとナンキョクオキアミの関係:
クジラは大量のナンキョクオキアミを食べるが、同時に多くのフンを出します。
ナンキョクオキアミはクジラのフンに含まれる鉄や窒素を利用して成長します。
ナンキョクオキアミの特性:
消化能力が低いため、食べたものを吐き出すことが多い。
フンは深海に沈み、そこで分解されないまま残ります。
CO2削減との関連:
ナンキョクオキアミは二酸化炭素をあまり排出しないため、クジラが食べることで炭素が深海に沈められます。
これにより、二酸化炭素の封じ込めと海洋生態系の豊かさが促進されます。

南極の生態系は驚くべき循環を持っていますね。ここで要点をまとめましょう。

生物ポンプとCO2削減:
クジラがナンキョクオキアミを食べることで、そのフンに含まれる鉄や窒素が海洋に送り込まれます。
この生物ポンプにより、海全体で毎年92億トンの二酸化炭素が封じ込められています。
これは人間が排出する二酸化炭素の2割に相当します。
ナンキョクオキアミの減少:
ナンキョクオキアミの個体数は80%減少しており、温暖化と流氷の減少が原因とされています。
流氷はアイスアルジーの貴重な食糧であり、減少は生態系に影響を及ぼしています。
植物プランクトン増加への取り組み:
現在、南極で鉄分をばらまいて植物プランクトンを増やす実験が行われています。
ナンキョクオキアミの増加により、さらなるCO2削減が期待されています。