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00:00 OP
02:23 迷惑な患者さんとは
05:57 聞き分けの良い患者さんとは
07:58 全員を救えるわけではない
09:58 本日の宿題
本日は「迷惑な患者と聞きわけの良い患者」というテーマでお話ししようと思います。
精神科臨床をしていると、困った患者さんは結構います。
僕のクリニックの口コミを見ると、半分ぐらいは口コミ1をつけています。
2.9とか2点台ですよ。
益田の腕が悪いんじゃないかとか言われそうですけど、まあそうと言えばそうかもしれないけども、こちら側に怒りをぶつけるとか攻撃性を向けることは珍しくないです。
実際、殺人予告とかもあります、はい。
殺人予告とかもあるので、どこかのタイミングで刺される可能性もなくはないわけですけれども、でもまあそういう仕事ですね。精神科医というのは。
一方で、「益田先生は素晴らしいんだ」「神様だ!」「感謝してます!」とか言う人もいます。
時々クッキーとか持ってきてくれる人もいますけど、基本的にはお断りしているんですよ。プレゼントはお断りしているんですけども、やっぱりプレゼントを持って帰ってもらうのもかわいそうというか、惨めな感じがあるわけですよね。
だからまあ受け取るんですけどもでも、基本的にはお断わりですよと説明しています。
今回はいただきますけど、みたいな感じで。
これも理想化させすぎている、聞き分けが良すぎるなという感じですね。
僕らがどんな気持ちなのかをお話ししようと思います。
あくまで僕目線で話をしますけど、僕はどういう風に考えてるのかということですけれども、若い医師とか若い支援者はそこまで達観できないとは思いますけども、ある程度一人前になってきたらどう思うのかという話ですよね。
■迷惑な患者さんとは
迷惑な患者さんとはどんな人か言うと、簡単に言えば、傷ついている患者さんが多いですよね。
散々傷付いてきた人なんだなと僕は考えます。
障害に傷ついたり、これまでのいじめや虐待とか色々な背景があります。
自分が社会に受け入れられていないんじゃないかとか見下されてるんじゃないかとか、そういう風に思っている人たちが多いということでしょうかね。
だからまあ、それだけ嫌な思いをしてきたんだろうなと思ったりします。
障害がある人とか、患者さんたちというのは、その分ピュアなんだと。
傷ついてきた分、心が清らかなんだと思う人たちはいると思いますが、まあそんなことはないわけで。
普通の人間と変わらないし、もしかしたら普通の人より性格が悪いことの方が多いです。
恵まれなかったというか、傷ついてきたということはそういうことです。
こういうことを言うと、「益田は」とか言って絶対嫌な思いをする人が多いと思いますけど、でもまあ一つの真実というかね、そう思いますね。
実際、精神疾患や貧困が犯罪率を上げている、虐待があった人たちが犯罪者に多いというのは事実でもあるわけですけど。
だけどそれは彼らが悪いとか自業自得だとかではなくて、単純にどっちが先かっていうとまあこっちが先ですよね。
傷つけられたことが先かなと思います。
ルールを作っても無視してしまう人もいますよね。
無視と理解困難はやっぱり近いんだよね。
精神科の世界というのはですね。
will not, do not, cannotは同じと考える見方もあるんですよね。
だから結果だけ見る。
甘えているんじゃなくてできないんだとか、やってないんじゃなくてやれないんだと見る見方もあるんですよ。
だから、人間の意志というものを無視して結果だけを見て、この人を把握するというものの見方もあるわけで、何かそうなのかなと思ったりしています。
■聞き分けの良い患者さんとは
聞き分けの良い患者についてはどうかと思うと、やっぱりこっちも同じなんですけど、虐待歴がある人は聞きわけが良かったり、こちらに妙に合わせてくれたり、そういう人も多かったりします。
理想化とか、陽性転移とかね。
つまり何かこの人は素晴らしいんだと思い込みたいというか。そういう人たちもいるなと思います。
容易に、ある瞬間を境に怒ってしまって、陰性転移に切り替わることも珍しくないので、これもこれで用心が必要だなとかあります。
精神科の患者さんの中には、ミュンヒハウゼン症候群や自己愛性パーソナリティの人、詐病とか色々いるんですけど。嘘をつく病気の人もいますし。
あとは発達障害のような形で記憶が捏造されてしまう、正しく記憶されてない人たちもいたりします。色々なことがあるなと思いますね。
国語力が高い人低い人も含めてね。
でもこういう人なんだなとか、こういう症状なんだなと思ってやっています。
■全員を救えるわけではない
ただそうは言っても、全員を救えるかとか、殺害予告は来ているけれども、この人を治療していかなきゃということはあまりしないです。
昔、そういう人も治療の対象なんだと言って、明らかに恨んでいるにもかかわらず、「益田ドクターが大嫌いだ。もう絶対ぶん殴ってやる、殺してやる」とか言っている人にも、「いやいや、ちゃんと通ってよ」と言って、いつかはわかるからとか言って治療していたことがありますけど、うまくいかなかったですね。
全然うまくいかない。そんなのはうまくいかないんですよね。
こじれちゃったらもう全然うまくいかない。
病院はいくつもあるので、別にウチだけじゃないので、よそに行ってもらった方がいいとかあったりします。
こういう人間の限界性とか、そういうものはあるなと今は考えたりはしています。
だからまあ、こちら側が何を提供できるのかということですよね。
精神科医は万能ではないし、日本の医学レベルは万能ではないのでできないこともありますよね。
精神科医は人を治すのが仕事だろうと言われるけれども、その言葉に悩んだ時期もありましたけど、それは建前であって、あくまでガイドライン通りの治療、診断をして、薬を処方して、出来る限りの話は聞きますけど、聞けない部分はあるので、そういうものだと割り切ってやっています。
割り切らないと潰れちゃうというのもあるし、実際こじれたところからはもう戻せないというかね。そういうことも珍しくないというかね。ありますね。
だからといって、個人的に嫌いだとか、憎むとかはなくて。
ただまあそういう人もいるなと思いながら治療している感じでしょうかね。
今回は、迷惑な患者、聞き分けの良い患者というテーマでお話ししました。
■本日の宿題
人間そんなもんだよなみたいなこと、やっぱり みたいな、そういうことですね。
will not, do not, can notは一緒だよねとか、自由意志を放棄してあるがままを見るみたいなことを皆さん書いてもらったらいいかなと思います。
ちょっと難しいね。
まあ、とにかくこんな人っているよねとか、人を変えられないよねみたいな、変えたいし、頑張るけれども、どこか限界があるよねみたいな話を書いてもらえたらと思います。
★動画の文字起こしはこちらのnoteに【全文掲載】されています。
https://note.com/wasemenblog
(文字起こし自体がない動画もあります)