【脳科学の達人】林(高木)朗子【第38回日本神経科学大会 市民公開講座】

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第38回日本神経科学大会市民公開講座「脳科学の達人」
http://www.neuroscience2015.jnss.org/open_lecture.html

【要旨】私たちの心の座はどこにあるのかと考えた場合、おそらく脳がその多くの機能をになうことは間違いがないと思われる。しかし脳という「物質」が、如何にして心という「精神」を作ることが出来るのか?心の仕組みなどという煙に巻いたようなこの難問に挑戦するためには、シンプルなアプローチで攻略の糸口をつかもうと考えた。それが記憶・学習研究である。われわれの心や個性とは、われわれの記憶や学習により育まれた情報処理やそれに基づいた行動のバリエーションと言っても当たらずとも遠からずだからである。そこで記憶研究にのめり込み、神経細胞の連絡部位であるシナプスという微細な構造に魅せられる。多くの脳科学者がシナプスこそ記憶・学習の基盤であると考えるものの、それを直接的に証明した研究は一つもない。それを証明するためにはどのような新技術を開発すれば良いのか?そのような発想から「記憶プローブ」という新技術が生まれた。本日はこの「記憶プローブ」と「青い光」を駆使することによって、記憶・学習の「物質」的基盤を明らかにするプロジェクトについて紹介したい。

【演者プロフィール】漠然と医者になろうと群馬大学医学部に入学したものの、本来終わるべき思春期が終わらず、この自分の心の悩みを理解するには精神科医になるのが近道と考え1999年に精神科医になる。しかし精神医学は、脳や心の仕組みを理解するにはまだまだ発展途上の学問と思い知らされ、脳科学の分野で研究者になろうと考えた。2005年より理研、米国ジョンズホプキンス大学を経て、2010年より東京大学。その間、無我夢中でシナプス研究に没頭するうちに、いつの間にか思春期は終わり、心の悩みより開放された。

【企画】日本神経科学学会 神経科学教育委員会(宮川剛, 御園生裕明, 松元健二, 富田泰輔, 矢尾育子, 豊田淳, 小清水久嗣)
【主催】日本神経科学学会
【共催】文部科学省/新学術領域研究 包括型脳科学研究推進支援ネットワーク
【助成】科学研究費(研究成果公開促進費)助成事業 *この事業はJSPS科研費15HP0034の助成を受けたものです。
【協賛】理化学研究所 脳科学総合研究センター 神経情報基盤センター, カクタス・コミュニケーションズ, 宮崎 敦子(理化学研究所, 井出 音 研究所)
【音楽】一色このみ

*演者・関係者の所属などの情報は企画開催時のものです。