絵本 読み聞かせ 知育動画｜注文の多い料理店（ちゅうもんのおおいりょうりてん）／童話・日本昔話・紙芝居・絵本の読み聞かせ朗読動画シリーズ【おはなしランド】
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2人の若くて太った紳士が、狩りのため2匹のシロクマのような犬を連れて山道を歩いていました。
獲物に巡り合えず、案内人がまごついてどこかへ行ってしまうくらいの山奥に入り込みました。犬たちはめまいを起こし死んでしまいました。
「ちぇっ、高い犬だったのにえらい損した。」
「えものもないし、もう帰ろうよ。」
お腹も空いたので、2人は帰ろうとしましたがあまりに山奥だったので帰り道がわかりません。
「寒いし腹がへった」「いいかげん歩きつかれたよ」
ふと見ると、立派な西洋風の家が一軒たっています。
玄関には「西洋料理店 山猫軒」と看板がありました。
ドアには金色の文字で
"どなたもどうか、お入りください
けっして、ごえんりょはいりません"
と書いてあります。
「いいじゃないか！入ってみよう」
「おや、こんな山奥に本格的なレストランがあるじゃないか」
ドアを押して中に入ると、裏側にはこう書いてあります。
"若い方やけんこうな方はだいかんげいです"
「おい、ぼくらはかんげいされる客のようだぞ」
二人は大喜びです。
ろうかを進んで行くと、またドアがありました。
「ずいぶんドアが多いレストランだなぁ」
「きみ、これはロシア風なんだよ。寒いところの家のつくりはだいたいこうなっているのさ」
ドアには
"当店はちゅうもんの多いりょうりてんなので、ごりょうしょうください"
と書かれています。
「ははぁ、はやっているから料理が出てくるまで時間がかかるのだな」
一人の若者がしたり顔で言いました。
中に入るとまた次のドアがあり、こう書かれています。
"ここで髪をきちんととかし、
くつのよごれをおとしてください"
「マナーの厳しいレストランなんだな。なかなか本格的じゃないか」
その通りにした二人はまた中に進むと、次のドアがあり、こう書かれていました。
"鉄砲のたまをぬいて、ここにおいてください"
「なるほど、鉄砲を持ってものを食べるのはマナーが悪いな」
2人はたまを抜いた鉄砲を置き、次の部屋へと進みます。
中に入るとまたドアがあり、
"帽子とコートと靴をおとりください"
と書いてあったので、2人は着ているものを壁にかけました。
次の部屋のドアには
"メガネ・財布・その他の金物、
とくにとがったものは、すべてここにおいてください"
と書いてあり、大きな金庫まであります。
「とがったものは食べる時に危ないな」
2人はメガネや時計などを金庫に入れました。
次のドアの前にはガラスのつぼが置いてあり、中にはクリームのようなものが入っています。
"つぼの中のクリームを顔や手足にすっかりぬってください"
と書いてあります。
「これはどういうことなんだ？」
「これは君、外がひどく寒かったから、顔や手足がひび割れないためだよ」
2人はクリームを顔や手足にべったりとぬりつけました。
あまった分をこっそりなめてみると牛乳のようなあまい味がします。
つぎのドアにはこうありました。
"料理はもうすぐできます。
ビンの中の香水を体によくふりかけてください"
2人は香水をふりかけましたが、なんだか酢の香りがします。
なんだか変に思いつつも次の部屋に入ると
"いろいろ注文が多くてすみませんでした。
これが最後の注文です。つぼの中の塩を、
からだによくもみこんでください"
と書いてあります。
「え？」
2人は顔を見合わせて今までの注意書きを思い返しました。
「おい、何だか変だと思わないか？」
「うん、おかしいな」
「さっきからむこうがこっちへたくさん注文しているんだよ」
「西洋料理店といっていたけど、つまり・・・ぼくたちを料理にして食べるってことじゃ・・・」
するとドアの向こうからヒソヒソ声が聞こえてきました。
「ちぇ、やっぱり気づかれちゃったぞ。」
「親分がよけいなことをいろいろ書くからだ。」
2人はガタガタ震えて逃げ出そうとしましたが、後ろのドアはびくともしません。
前のドアの鍵穴からは二つの青い目玉がギョロギョロとこちらを見ています。
「さあさあお客さん、早くこっちの部屋へいらっしゃい。親分がナプキンをして、ナイフをもって待っておられます。」
などと言っています。
2人は恐怖のあまり泣き出しました。
その時です。
ワンワン！がるるる〜！
死んだと思った二匹の犬が部屋の中に飛び込んできました。
犬は前のドアを破って暗闇に吸い込まれると、中からは「ニャァ、ギャオ、ゴロゴロ！」という声と、ドタンバタンという音が聞こえてきます。
その途端、家は煙のように消えてなくなり、2人は風がびゅうびゅう吹く中に裸で立っていました。あまりの寒さにブルブル震えてあたりを見回すと、コートや靴、時計やらメガネが散らばっています。
「うわあああ」
2人は急いでそれを身につけると大慌てで逃げ出しました。
その後2人は無事に家に帰ることができましたが、その時泣いてくしゃくしゃになった顔だけは、熱いお湯に入ってももとにもどりませんでした。
おしまい
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獲物に巡り合えず、案内人がまごついてどこかへ行ってしまうくらいの山奥に入り込みました。犬たちはめまいを起こし死んでしまいました。
「ちぇっ、高い犬だったのにえらい損した。」
「えものもないし、もう帰ろうよ。」
お腹も空いたので、2人は帰ろうとしましたがあまりに山奥だったので帰り道がわかりません。
「寒いし腹がへった」「いいかげん歩きつかれたよ」
ふと見ると、立派な西洋風の家が一軒たっています。
玄関には「西洋料理店 山猫軒」と看板がありました。
ドアには金色の文字で
"どなたもどうか、お入りください
けっして、ごえんりょはいりません"
と書いてあります。
「いいじゃないか！入ってみよう」
「おや、こんな山奥に本格的なレストランがあるじゃないか」
ドアを押して中に入ると、裏側にはこう書いてあります。
"若い方やけんこうな方はだいかんげいです"
「おい、ぼくらはかんげいされる客のようだぞ」
二人は大喜びです。
ろうかを進んで行くと、またドアがありました。
「ずいぶんドアが多いレストランだなぁ」
「きみ、これはロシア風なんだよ。寒いところの家のつくりはだいたいこうなっているのさ」
ドアには
"当店はちゅうもんの多いりょうりてんなので、ごりょうしょうください"
と書かれています。
「ははぁ、はやっているから料理が出てくるまで時間がかかるのだな」
一人の若者がしたり顔で言いました。
中に入るとまた次のドアがあり、こう書かれています。
"ここで髪をきちんととかし、
くつのよごれをおとしてください"
「マナーの厳しいレストランなんだな。なかなか本格的じゃないか」
その通りにした二人はまた中に進むと、次のドアがあり、こう書かれていました。
"鉄砲のたまをぬいて、ここにおいてください"
「なるほど、鉄砲を持ってものを食べるのはマナーが悪いな」
2人はたまを抜いた鉄砲を置き、次の部屋へと進みます。
中に入るとまたドアがあり、
"帽子とコートと靴をおとりください"
と書いてあったので、2人は着ているものを壁にかけました。
次の部屋のドアには
"メガネ・財布・その他の金物、
とくにとがったものは、すべてここにおいてください"
と書いてあり、大きな金庫まであります。
「とがったものは食べる時に危ないな」
2人はメガネや時計などを金庫に入れました。
次のドアの前にはガラスのつぼが置いてあり、中にはクリームのようなものが入っています。
"つぼの中のクリームを顔や手足にすっかりぬってください"
と書いてあります。
「これはどういうことなんだ？」
「これは君、外がひどく寒かったから、顔や手足がひび割れないためだよ」
2人はクリームを顔や手足にべったりとぬりつけました。
あまった分をこっそりなめてみると牛乳のようなあまい味がします。
つぎのドアにはこうありました。
"料理はもうすぐできます。
ビンの中の香水を体によくふりかけてください"
2人は香水をふりかけましたが、なんだか酢の香りがします。
なんだか変に思いつつも次の部屋に入ると
"いろいろ注文が多くてすみませんでした。
これが最後の注文です。つぼの中の塩を、
からだによくもみこんでください"
と書いてあります。
「え？」
2人は顔を見合わせて今までの注意書きを思い返しました。
「おい、何だか変だと思わないか？」
「うん、おかしいな」
「さっきからむこうがこっちへたくさん注文しているんだよ」
「西洋料理店といっていたけど、つまり・・・ぼくたちを料理にして食べるってことじゃ・・・」
するとドアの向こうからヒソヒソ声が聞こえてきました。
「ちぇ、やっぱり気づかれちゃったぞ。」
「親分がよけいなことをいろいろ書くからだ。」
2人はガタガタ震えて逃げ出そうとしましたが、後ろのドアはびくともしません。
前のドアの鍵穴からは二つの青い目玉がギョロギョロとこちらを見ています。
「さあさあお客さん、早くこっちの部屋へいらっしゃい。親分がナプキンをして、ナイフをもって待っておられます。」
などと言っています。
2人は恐怖のあまり泣き出しました。
その時です。
ワンワン！がるるる〜！
死んだと思った二匹の犬が部屋の中に飛び込んできました。
犬は前のドアを破って暗闇に吸い込まれると、中からは「ニャァ、ギャオ、ゴロゴロ！」という声と、ドタンバタンという音が聞こえてきます。
その途端、家は煙のように消えてなくなり、2人は風がびゅうびゅう吹く中に裸で立っていました。あまりの寒さにブルブル震えてあたりを見回すと、コートや靴、時計やらメガネが散らばっています。
「うわあああ」
2人は急いでそれを身につけると大慌てで逃げ出しました。
その後2人は無事に家に帰ることができましたが、その時泣いてくしゃくしゃになった顔だけは、熱いお湯に入ってももとにもどりませんでした。
おしまい
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