幻の山菜「行者にんにく」 産地が限られるうえ生産量が少なく栽培も難しい…その味は?【佐賀県】 (23/04/20 18:40)

2023/04/20 に公開
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佐賀市の男性が「行者にんにく」という山菜の栽培に取り組んでいます。生産地が限られるうえ生産量が少なく、栽培も難しいことから「幻の山菜」と呼ばれる行者にんにく。その味とは?

佐賀市富士町でレストランを経営する佐保和彦さんの畑では、たくさんの山菜が育てられています。
その一角でみずみずしく生い茂っているのが「行者にんにく」です。

【中嶋理沙記者】
「たくさんなっていますね」
【佐保和彦さん】
「これがちょうど種をまいてから5年目くらいです。行者にんにくは5年くらい経たないとこういう風に収穫できるような大きさにはなりません。とってみますか?」
【中嶋理沙記者】
「え?細長い」「小さな球根みたいなのが下にちょっとだけついていますよね。らっきょうみたいですね」

行者にんにくは涼しい気候の地域でしか育たない山菜で、国内では北海道が最大の自生地と言われています。
収穫まで5年から8年を要し生産量も少ないことから、「幻の山菜」と呼ばれているほか、アイヌ民族の強壮剤、栄養源であったとも言われています。
山あい地域の活性化に向けて、キノコや山菜の生産拡大を目指していた県は、標高が高く涼しい菖蒲地区に目を付け山菜料理のレストランを経営する佐保さんに行者にんにくのモニター栽培を依頼しました。佐賀県での知名度は低いものの北海道や東北では人気があり、ほかの山菜と比べて高値で取引きされることもあり選ばれました。

【県林業試験場 淵上武俊主査】
「ここ佐賀県では北海道・東北地方より収穫時期が早いということから消費者の皆さんに早く提供できるという有利な点があるのが理由です」
【佐保和彦さん】
「一番大変なのは草取りです。有機無農薬ですので除草剤は当然使いませんから」

苦節5年、佐保さんは今年3月に初めて富士町産「行者にんにく」の販売にこぎつけました。1つ300円50パック限定で用意したところ、すぐに完売。年内の販売はありませんが、佐保さんが経営するレストランで提供される予定です。
試食してみたところ・・・

【中嶋理沙記者】
「にんにくほど香りが強くなくてこれはニラに似てますね。食感もシャキシャキしていてとっても美味しいです」
【西要子さん】
「行者にんにくと名前を聞いただけでいやーにんにく?とちょっとにんにくの個性を思い出して嫌がる人もいますけれども、使ってみれば中々親しめる植物だと思っています」

醤油漬けや酢味噌あえ、揚げ物など様々な料理で活用が見込める行者にんにく。試しに生産する農家が3人から6人に増え収穫も徐々に安定してきたことから県は、今後富士町だけでなく三瀬など、近隣の生産者にも技術を伝え生産量を増やしていきたいとしています。
山あいの地の新たな名産となりうるか期待が高まります。