浪人なんて怖くない 多浪の会、14浪の猛者もいるよ

2019/12/03 に公開
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「大阪大学多浪の会」。2017年4月に発足した阪大の非公認サークルだ。入会資格は2浪以上。現在、OB・OGを含めて52人が所属する。浪人年数は合計136浪。14浪の猛者もいるが、メンバーもめったに顔を合わせない。
 会長は大学院修士2年の伊藤慧さん(27)。医学部をめざしたがかなわず、3浪の末に理学部に入った。ある日友だちから、2浪して「おっちゃん」と呼ばれている法学部生を紹介された。「こっちは2浪どころじゃないぞ」と意気投合した。
 年齢を明かすと同級生が急によそよそしくなった。成人式は受験で参加できなかった。新入生でも合法的に酒を飲める――。いくつもの「多浪あるある」で盛り上がり、「俺たちってマイノリティーだよな」と杯を重ねた。わずかな年の差と侮るなかれ。子どもの頃に遊んだゲーム「ポケットモンスター」の世代が違い、同級生と話題が合わず肩身の狭い思いをすることだってあるという。当事者の悩みは意外に深い。
 「浪人経験者ばかりを集めたら変わったやつらが集まるだろうな」。17年春、それぞれ「二浪」「三浪」と黒ペンで大きく書いたTシャツを着て学内を歩くと、浪人を経験した新入生が「僕も多浪です」「何をしているんですか」と食いついてきた。口コミやSNSで仲間が増えた。飲み会や懇親会を開いては、傷をなめ合うのではなく絆を深める。