【能登半島地震のその後】液状化被害の住民 それぞれの決断を追う【新潟】スーパーJにいがた5月1日OA

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能登半島地震の発生から5月1日で4カ月です。液状化の被害が拡大した新潟市西区では、生活再建を進める人の一方で、60年にわたって住み慣れた家から引っ越しを余儀なくされた人もいます。それぞれの決断を追いました。

西区善久の山田定雄さんの住宅。1人暮らしです。
■山田定雄さん
「ここはもう完全にわれて外が丸見え、風が入ってくるのがわかりますものね。」

新潟市の調査で、上から2番目に被害の大きい大規模半壊と判定されました。家は大きく傾き、床は歪んでしまっています。山田さんによると、周辺も被害が大きく既に引っ越した住民も多いといいます。

■山田定雄さん
「流すと流れていかない、たまっていくでしょ。」

下水道管も破損し、トイレや風呂が使えず洗濯もできず、3カ月以上、外の施設を利用する生活を送ってきました。両親が60年前に建てた住宅。当初は再建して、この土地で暮らし続けることを模索していました。

■山田定雄さん
「親と一緒に生活した思い出というのはここしかないので、だから最期までここに住みたかったですけど現状では・・・。高額なお金を払ってうちを建て直して、果たしてそれが本当にいいのか。」

3月、山田さんの元に家を新築した場合の見積もり書が届きました。

■山田定雄さん
「最終的な金額は2460万円2500万円くらいですね。自己資金をはるかにオーバーしている。」

自己資金は地震保険の保険金が1000万円。受け取れる見込みとなっている行政の支援金は187万円。見積もりに到底届かず、山田さんは引っ越しを決断しました。

■山田定雄さん
「寂しいですね、悲しいですよね、もとに戻らないですからね。残っているのは思い出だけになりました。」

新潟地震でも、この地区は液状化が起きていました。山田さんは今後、行政に抜本的な対策をしてほしいと話します。

■山田定雄さん
「対策を正直言って国と市は何もして来なかった。一番大事なのは、そこに住む生命や財産を守ることだと思う。」

4月20日。家を離れる日を迎えました。
■山田定雄さん
「これは母親が60年間ここでずっと食事をしていた。ここにシミがついているけど、母親が食べていた。人は新しいものを買えば良いというが捨てきれないんです。」

亡き母親との思い出がある家具は、新居に持っていくことにしました。土地は更地にして売りに出しますが、行政が負担してくれるのは主に母屋を解体する費用だけです。

■山田定雄さん
「(Q.あちらの小屋も?)これはもう自己負担で撤去します。おそらく今もう土地の値段も(液状化の影響で)半値くらいになっていると思う。その半値の値段で撤去したら、手もとにほとんど残らないと思う。」

山田さんは、これまでの住まいから車で20分ほど離れた場所に中古住宅を購入しました。3カ月以上使えなかった水もようやく使えるようになります。

■山田定雄さん
「いやー出ますね、水はありがたいですね。(飲む)いやおいしいです。ポイントは液状化がない場所ということ、それがまず第一ポイントだった。人に話をきいたら、五十嵐とか内野は液状化が関係なかった。」

購入金額は820万円。かつての住まいと比べると半分ほどの広さです。新たな地で生活が始まります。

■山田定雄さん
「一回地震がきて、うちが壊れると悲惨な目に遭う。厚く支援してくれるという制度を作らないと、安心して暮らすことが難しい。」

一方、液状化した土地での再建を目指す人たちもいます。
4月27日と4月30日、新潟市が開いた液状化に関する説明会には、あわせて340人が参加。新潟市は、住宅地の液状化対策の工事の実施は調査を経て、着手までに2~3年かかること、一部個人負担も必要になると説明しました。

■谷川直人さん
「(液状化対策のスケジュール感について)やっぱり、なるようにしかならないのかなと思うやむを得ない。」

山田さんと同じく、西区善久に住む谷川直人さんと由美さん夫妻です。駐車場は大きく沈み、雨水がたまります。家も傾き開けたドアが閉まってしまいます。

■谷川直人さん
「これが全壊となったら壊して新たな土地か建て直すかと思うが、もうせっかくここに住んでいるので家を復旧して住んでいこうと思っています。」

由美さんの実家を6年前に立てなおした住宅。大規模半壊と認定されました。修繕には1500万円ほどかかり、多くを自己資金でまかないます。この地域は、かつて川が流れていて液状化しやすいことを知らなかったといいます。

■谷川由美さん
「16歳のときにここにきて、まったくそういう話は両親もきいたことがないと思う。」

新潟市は、道路や下水道の復旧工事が完了するのは来年度以降としています。被災した人たちの生活再建は道半ばです。

■谷川直人さん
「地盤改良とか道路復旧とか、地震の前以上に精度の高い地区になれば、みなさん離れずに住んでいくとは思うが、地区のみなさんの協力を得ながら進めて行けたらと思う。」

2024年5月1日放送時点の情報です。

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