クッキー食べて緊急搬送も 地域の命を救え! 年末年始の高度救命救急センターに密着【Jの追跡】【スーパーJチャンネル】(2024年2月10日)

2024/02/10 に公開
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年末年始のさいたま赤十字病院の高度救命救急センター。この病院は医師が直接現場で治療する「ドクターカー」を所有していて、その現場は、患者の命を左右する緊迫したものに…。

深夜の横転事故、インフルエンザと溶連菌の感染症を併発した男児、クッキーを食べた後に体調が急変した女の子、餅をのどに詰まらせた高齢者など、ありとあらゆる緊急事態が発生。地域の命を守る最前線に密着します。

■居眠り運転の事故 最新設備で患者の検査

年の瀬を迎えたさいたま市。午前4時20分、出動の要請です。医師や看護師がドクターカーに乗り込み出動します。

10分後、見えてきたのは消防車です。一体、何が起きたのでしょうか?

長谷川一貴医師
「日赤のドクターカーです。近づいて大丈夫ですか?安全OK?じゃあ行きます」

そこは、交通事故の現場でした。運転していたのは20代の男性です。

長谷川医師
「胸の痛みがある?」

20代男性
「ちょっと息苦しい感じがする」

居眠り運転でガードレールにぶつかり、車が横転したといいます。シートベルトを締め、エアバッグも作動していたことが幸いし、大きなけがはなさそうです。

同乗していた20代の女性は応急処置のため、救急車の中に入ります。

看護師
「今、どこか痛いです?」

20代女性
「右足首と胸がちょっと苦しいです」

一見、大きなけがは見当たらないものの体内で出血している可能性もあります。状況を高度救命救急センターに伝えます。

長谷川医師
「今、事故現場に着きまして、自動車の単独事故」

病院側では電話の会話を館内放送で共有します。

長谷川医師
「少なくとも助手席の方は胸の痛みがあるということなので、救命(センター)に搬送しようと思っていて」

すぐに受け入れ態勢を整えます。

15分後、2人を乗せた救急車が到着しました。

搬送されたのは「ハイブリッドER」といわれる治療室。CTなどが備えられ、患者を移動させずに診察と治療が行える最新の設備です。検査の結果は…。

鈴木源医師
「CT画像で見る限りは、中で出血したりとか、肋骨(ろっこつ)骨折とかの所見はなく、全身打撲の疑い」

懸念されていた体内の出血は2人ともなく、全身打撲で数日入院。その後、退院しました。

■インフルと溶連菌感染症を併発 2歳男児“意識朦朧”

さいたま市にある、さいたま赤十字病院。現場で重症患者の治療にあたるドクターカーは、病院内の高度救命救急センターが運用しています。

ドクターカーは24時間365日、医師や看護師が直接現場に急行することから、「走る救命救急センター」とも言われます。

通常、救急車に乗っている救急救命士は医師の指示の下で、救命処置はできるものの、医療行為は限られています。

そこで、医師が直接現場に急行することで1秒でも早く治療ができるようにと、全国でドクターカーの導入が進められているのです。

寒さが厳しくなるこの季節は、救急搬送される患者が多くなり、ドクターカーの出動要請も増えてくるということです。

午後9時48分、出動要請が入りました。

坪井基浩医師
「意識障害がずっと続いているんですか?」

2歳の男の子が高熱で意識がないといいます。

ドクターカーは患者が直接要請することはできません。119番を受けた消防が、医師の早急な治療が必要と判断した場合、要請します。

坪井医師
「ブリーフィングします。21時48分、救急隊からの要請」
「アレルギーあります?ない。分かりました」

小児科医と合流し、治療に取り掛かれるよう薬剤を準備します。

出発から15分。先に到着していた救急車に乗り込みます。

坪井医師
「日赤の医者と県立小児医療センターのお医者さん入りますので、よろしくお願いします」

2歳の男の子はインフルエンザと溶連菌の感染症を併発していました。高熱と呼吸困難で意識も朦朧(もうろう)としています。

看護師
「ジャクソン(呼吸器具)つなぐので、酸素切り替えお願いします」

自発呼吸をサポートする器具を装着。すると、酸素飽和度が回復します。

坪井医師
「今、ジャクソンで(酸素飽和度)100%とれてますね」
「ちょっと(意識)レベル良くなりました?」

そして、男の子は小児専門病院に搬送されました。

坪井医師
「あれ以上、酸素の値が低い状態が続くと心肺停止の状態になるようなケースだった。ドクターカーが接触して良かったと思います」

■6歳女児にアナフィラキシーの症状 年末ならでは理由?

再びドクターカーの要請です。6歳の女の子がアナフィラキシーの症状が出たといいます。

坪井医師
「現在ある症状は何があるんですか?顔面と首回りの発赤と息苦しさがあるんですね。何時にクッキー食べた?」 

クッキーを食べた後、体調が急変したといいます。

医師は患者を乗せた救急車と合流。すぐに乗り換え、処置を施します。

小児科医
「かゆい?大丈夫?声出にくいとかないかな」

実は、女の子は卵アレルギーがあるといいます。重篤化すると命に関わる可能性もあります。すると…。

小児科医
「息苦しいの良くなってきてる?大丈夫そう?良かった良かった」

アナフィラキシーの症状が出たのは、年末ならではの理由が考えられるといいます。

坪井医師
「食事の機会も自宅の中だけではなくて、色々な場所で普段と違う環境で食事をするということもあると思うので、そういうことも関係しているかもしれない」

病院に着く前の医師の早い対応もあり、入院したものの、翌日には退院することができました。

■寒い季節に増える“心臓にまつわる病気”

年の瀬を迎えても、ドクターカーに休む暇はありません。午後4時に出動要請が入りました。

患者はすでに救急車の中で、心筋梗塞(こうそく)の疑いで苦しそうな表情です。

寒い季節に増えるのが、心臓にまつわる病気です。

救急車に同乗した医師から、病院に患者の心電図が送られてきました。病院の医師が注目したのは通常60~100という脈拍。

朝見正宏医師
「246まで脈が上がっていますので、まずはこの頻脈を止めるような処置に入りたいと思います」

病院に到着するも、患者の脈拍はまだ200を超えたまま。脈拍が異常に速くなる「頻脈」という状態です。

道下俊希医師
「楽にしてくださいね。今、不整脈止まりましたからね」

無事、頻脈も収まりました。これで一安心、と思ったその時、同時に2カ所からドクターカーの要請が入りました。どちらも心臓疾患の疑いだといいます。

多喜亘医師
「こっちでドクターカー出ちゃいます。日赤ドクターカー出ます」

この日は7件のドクターカー要請のうち、5件が心臓に関わる病気でした。

八坂剛一医師
「12月の後半から、心臓の病気とか脳の病気とか低体温とか家の中で具合悪くなって体が冷えてしまっている状態の人が搬送されてきますね」

■餅を詰まらせ心肺停止 正月でも緊急出動

2024年。新たな年が始まりました。正月でも出動要請は続きます。

席望医師
「餅、窒息。80歳の男性。CPA(心肺停止)に移行したと」

80代男性が、餅を詰まらせたため緊急出動。窒息は5分以上続くと助けられる確率が25%以下になるといわれています。

席医師
「餅見えます?」
救急救命士
「餅、今2回目取って…」

すでに餅は取れていましたが、心肺停止の状態です。気道を確保し、懸命に心臓マッサージを続けます。そのまま「高度救命救急センター」に搬送します。

心臓が再び動き出しました。

席医師
「窒息なので基本的に低酸素脳症とか、そういったような状況に陥ることが多いので、そうならないように体温管理をしたりする」

1年の中でも救急搬送が1番多いという1月。寒さが厳しくなる今後もドクターカーの活躍は続きます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp