情熱大陸のナレーション・任天堂DSのCMでお馴染みのナレーター・窪田等が、名作小説をプロフェッショナルボイスで朗読します。『走れメロス』『雨ニモマケズ』『注文の多い料理店』など作品多数。作業用、リラックス、聞き流し、睡眠導入・おやすみ前の読み聞かせ、ながら読書などなどに、安定感あるプロの朗読を。文学の勉強、大人のリラックスタイムにも。
心安らぐ癒しのお時間をお過ごしください。
全文は概要欄の下部へ。
飴だま
作:新美南吉 朗読:窪田等
【窪田等も講師を務めるザ・ナレーター・アカデミー 2023年4月生募集中!】
ナレーター・窪田等をはじめとした、国内屈指のプロナレーターや現役映像プロデューサー・ディレクター、マネージャーらが、次世代の育成を目的に開講するオンラインレッスン「THE NARRATOR ACADEMY」。
現在、2023年4月開講の第6期生を募集中。
募集締切は3/30までですが、定員に達した場合は期日より前に締め切ります。
表現力のあるボイスにしたい、声の仕事がしたい、アナウンサー・声優などでナレーションのトレーニングをしていきたい方・プロナレーターを目指す方・基礎から学びたい方に。
修了生はオーディション後、仕事に直結する仕組みも。
皆様のご応募をお待ちしています。
▼詳細・お申込みは公式HPから▼
https://www.jimpuku.co.jp/tna
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毎週UPしていきますのでお楽しみください。
情熱大陸のYouTube 窪田等編
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窪田等ナレーション:情熱大陸HP
https://www.mbs.jp/jounetsu/
<全文>
春のあたたかい日のこと、わたし舟にふたりの小さな子どもをつれた女の旅人がのりました。
舟が出ようとすると、
「おオい、ちょっとまってくれ。」
と、どての向こうから手をふりながら、さむらいがひとり走ってきて、舟にとびこみました。
舟は出ました。
さむらいは舟のまん中にどっかりすわっていました。ぽかぽかあたたかいので、そのうちにいねむりをはじめました。
黒いひげをはやして、つよそうなさむらいが、こっくりこっくりするので、子どもたちはおかしくて、ふふふと笑わらいました。
お母さんは口に指をあてて、
「だまっておいで。」
といいました。さむらいがおこってはたいへんだからです。
子どもたちはだまりました。
しばらくするとひとりの子どもが、
「かあちゃん、飴だまちょうだい。」
と手をさしだしました。
すると、もうひとりの子どもも、
「かあちゃん、あたしにも。」
といいました。
お母さんはふところから、紙のふくろをとりだしました。ところが、飴だまはもう一つしかありませんでした。
「あたしにちょうだい。」
「あたしにちょうだい。」
ふたりの子どもは、りょうほうからせがみました。飴だまは一つしかないので、お母さんはこまってしまいました。
「いい子たちだから待っておいで、向こうへついたら買ってあげるからね。」
といってきかせても、子どもたちは、ちょうだいよオ、ちょうだいよオ、とだだをこねました。
いねむりをしていたはずのさむらいは、ぱっちり眼をあけて、子どもたちがせがむのをみていました。
お母さんはおどろきました。いねむりをじゃまされたので、このおさむらいはおこっているのにちがいない、と思いました。
「おとなしくしておいで。」
と、お母さんは子どもたちをなだめました。
けれど子どもたちはききませんでした。
するとさむらいが、すらりと刀をぬいて、お母さんと子どもたちのまえにやってきました。
お母さんはまっさおになって、子どもたちをかばいました。いねむりのじゃまをした子どもたちを、さむらいがきりころすと思ったのです。
「飴だまを出せ。」
とさむらいはいいました。
お母さんはおそるおそる飴だまをさしだしました。
さむらいはそれを舟のへりにのせ、刀でぱちんと二つにわりました。
そして、
「そオれ。」
とふたりの子どもにわけてやりました。
それから、またもとのところにかえって、こっくりこっくりねむりはじめました。