東日本最大級のサバの陸上養殖施設が誕生 アニサキスフリーで刺身も 新たな特産品へ町も期待【福島発】  (24/04/28 06:00)

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福島県内でも2023年の速報値で約1800トンが水揚げされている「サバ。塩焼きやみそ煮など私たちにとっては、火を通して食べるのが一般的だ。そんな『サバ』に新たな可能性を生み出す施設が福島県浪江町に誕生した。

浪江町に現れた巨大な水槽には、これから数万尾の「サバ」の稚魚が投入される計画だ!サバの陸上養殖の技術開発から出荷までを担う、「陸上養殖イノベーションセンター」が4月23日お披露目された。

日揮・藤原正彦執行役員は「本実証試験が成功すれば、刺身で食べることができるサバという、東日本にこれまでなかった食材をここ浪江町発で提供することができることになると考えております」と話す。期待できるのはなんと「刺身」!

かもめミライ水産・大澤公伸社長は「従来ですと、『アニサキス』という虫がいまして、生食で食べるとお腹を壊すという問題がございまして、特に東日本では〆たり焼いて食べるということが一般的でございました。今回陸上養殖で飼育することで、『アニサキスフリー』のサバを飼育することが可能となります」と話す。

浪江町の水道水に塩を混ぜて作られた海水と高度な浄化・殺菌技術により寄生虫が発生しない養殖方法を実現。西日本では広まりつつある「陸上養殖」だが、東日本としては最大級の施設となる。
町ではこの「サバ」をブランド化し、新たな特産品とすることも見据えている。
浪江町の吉田栄光町長は「『福の鯖』ということで、出来ればですよ、ふるさと納税の返礼品にですね、サバを使いたいなと思ってます」と期待を寄せる。

センターでは、3年後に60トンの出荷を目指す。

『福の鯖』というネーミングには、「食べた人が幸福になるように」という想いも込められている。サバの刺身が飲食店やスーパーに並ぶ日も遠くないかもしれない。

東日本では生のサバが流通しない理由の1つが『アニサキス』だ。食中毒を引き起こす『アニサキス』は、サバに多く寄生することが知られていて、西日本より東日本の方が毒性が強いということだ。そのため、東日本では食中毒を防ぐための冷凍や加熱が不可欠だったが、この施設では、アニサキスが発生しないよう養殖することができる。

ここで培われた技術は、世界への輸出も見据えたいということで、グローバルな挑戦が浪江町からはじまる。

画像:PIXTA