ASDだと疲れやすい原因3つ【感覚過敏等特性や過剰適応など、精神科医が7.5分で説明】自閉症スペクトラム|発達障害

0:05 (1)はじめに
0:27 (2)ASDと 疲れやすさ
2:32 (3)ASDだと疲れやすい原因3つ
2:40 ①感覚過敏
3:57 ②不適用・過剰適応
5:23 ③こだわりと完全主義
6:51 (4)まとめ
発達障害ASDで「疲れやすい」との相談は少なくありません。感覚過敏などの特性由来の場合と、過剰適応の影響などの場合の双方があります。
「ASDだと疲れやすい原因3つ」につき、精神科医が要点を約7.5分の動画にまとめています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

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↓↓内容の詳細は下記になります。

(1)はじめに
ASDセルフチェック。今回は「ASDだと疲れやすい原因3つ」を見ていきたいと思います。よろしくお願いします。
発達障害ASDで「疲れやすい」という話を聞くことが多くあります。
では、なぜASDだと疲れやすさが出やすいでしょうか。
今回は「ASDだと疲れやすい原因3つ」です。

(2)ASDと疲れやすさ
「疲れやすさから二次障害のリスクにもなる」こともあります。
<ASD(自閉症スペクトラム)>
ASdは「社会性の障害」と「こだわり」の2つが特徴の生まれながらの発達障害です。
幼少期に見つかることが多いですが、大人になってから見つかる場合もあります。
その中で、疲れやすさに悩む人が少なくないのも特徴です。
<ASDの主な特性>
①社会性の障害
非言語的な感情のやりとりが特に苦手で、人間関係でうまくいきづらいことが多いです。
②こだわり
一つのことに深くこだわりすぎて変化や臨機応変な対応の苦手さが指摘されます。
③感覚過敏
特定の感覚に対して過敏で、逆に別の感覚には鈍感な場合もあり、差が大きいことが特徴です。
<ASDと疲れやすさ>
このASDでは疲れやすさに悩む人が少なくありません。
これに関しては、「特性」ASDの特性由来のことも、ある種の「過剰適応」無理したこと由来の場合もあります。
そして「疲れすぎて」疲弊すると、二次障害のリスクにもなります。
<疲弊の影響>
まずは疲れすぎから、活動がしにくくなってしまいます。
そして、疲れが続くと「体調を崩しやすい」、風邪などをひきやすくなることがあります。
もう一つが「精神的な不調」落ち込みや不安などの二次障害のリスクが上がります。
<疲弊への予防と対策>
①自分の疲れをしっかり観察する
マインドフルネス的なやり方も活用して自分の疲れを観察します。疲れがわからない状態で無理をすると、疲労リスクが上がってしまいます。
②休養やリラックスの意識的な実践
無意識にやっていくと、どうしても疲れがたまってしまいやすいので、意識的にやっていくことが大事です。
③特性を踏まえての環境調整
合わない環境だとより疲れがたまってしまいやすいため、必要じは特性に合った環境へ調整を模索します。


(3)ASDだと疲れやすい原因3つ
「特性由来の時」と「過剰適応由来の時」とがあります。
①感覚過敏
「小さな刺激が大きく響く」事からの疲労です。
<感覚過敏>
ASDですと、特定の感覚への感覚過敏があることが多いです。
そうすると、小さい刺激も大きく感じてた結果刺激が強まって疲弊しやすくなります。
特に生活や仕事の環境で過敏なものがあると影響が大きくなってしまいます。
<感覚過敏の例>
まずは「聴覚過敏」声や音などの耳からの情報に敏感という方がいます。
また「光過敏」光に非常に敏感という方もいます。
また「触覚・嗅覚等の過敏」。中には味覚に敏感で偏食が強い方もいます。
<対策>
まずはいわゆる「イヤーマフ」をつけるなど、現実的な過敏性への対策ツールを活用します。
2つ目は「可能な範囲での合理的配慮の相談」例えば、制服の感覚過敏の時の私服の活用など、可能な範囲での相談をします。
一方でどうしても対策だけでは難しい場合は「環境を変える」のも一つ選択肢です。
②不適応もしくは過剰適応
不適応と過剰適応、「どちらの場合も消耗しやすい」です。
<不適応>
ASDでは先ほどの特性を背景に社会や対人面でうまくいかない「不適応」のリスクはどうしてもあります。
その中で叱責をされたり、孤立したりするなどからストレスを感じて非常に疲弊してしまうことがあります。
さらに「前の嫌なことを鮮明に思い出す」ことから、さらに考えすぎ疲弊することもあります。
<過剰適応>
特性に関しては、確かに理詰めでカバーするなどである程度カバーの余地があります。
しかし、これをやっていくと負担がかかり、無理し過ぎると頭を使いすぎて疲弊してしまうことになります。
そして、無意識に過剰適応してしまう場合だと、無意識に無理がかかりリスクが上がります。
<対策>
まずは「過剰適応になりすぎず、疲弊し過ぎることを防ぐ」こと。
しかし、一方で、最低限の適応をすることで「不適応を防いでストレスを防ぐ」のも大事です。
そして不適応か過剰適応にならない「中間」を取れる、無理し過ぎず適応が可能な環境を模索していきます。
③こだわりと完全主義
「完全を求めすぎて疲弊してしまう」事からの疲労です。
<こだわりと完全主義>
ASDでは「こだわり」の特性があり、どうしても「完全主義」になってしまいやすい面があります。
これは質を高める面では有利ですが、やはり無理して疲弊してしまいやすい面もあります。
そして「場の求められていること」と「ご自身のこだわり」がずれたときに無理したのにうまくいかずリスクが上がります。
<あいまいさの影響>
ASDでは目標があいまいだと、どうしてもイメージしにくく対策が困難になります。
そして、あいまいさへの自己対処として「幅広く全て完璧にやろうとする」ことが多いです。
こうなると非常に疲弊しやすく、かつ広くとりすぎているため結果的にニーズとずれてしまいやすく注意が必要です。
<対策>
まずは仕事などの「必要条件」何が必要で何が求められているかを「明確にする」ことが大事です。
その上で、まずは完ぺきではなく「最低限必要条件を満たす」ところを目指していきます。
そこをクリアした上で、それ以上どこまでやるかは、体調・状況・期限等から検討していきます。

(4)まとめ
今回はASDセルフチェック「ASDだと疲れやすい原因3つ」を見てきました。
発達障害ASDで疲れやすさが問題になることが多く、主な原因は次の3つです。
①感覚過敏
②不適応もしくは過剰適応
③こだわりと完全主義
自分でできる対策はまず行い、それだけでは困難な場合、様々な角度での環境調整を模索していきます。

こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
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【解説者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。