ひきこもりの原因になる主な精神疾患4つ【精神科医が8分で説明】うつ病|社会不安障害|発達障害|統合失調症

0:05 (1)はじめに
0:30 (2)ひきこもりと精神疾患
2:01 (3)ひきこもりの原因になる主な精神疾患4つ
2:08 ①うつ病
3:13 ②社会不安障害
4:15 ③発達障害
5:55 ④統合失調症
7:30 (4)まとめ

ひきこもりは(6か月から数十年の)長期間交流を断ち家に居続ける状態です。定義上必ずしも精神疾患があるとは限りませんが多くは精神疾患を合併し、その場合受診・診断・治療で改善する場合があります。
「ひきこもりの原因になる主な精神疾患4つ」につき、精神科医が要点を約9分の動画にまとめています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

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↓↓内容の詳細は下記になります。

(1)はじめに
今回は「ひきこもりの原因になる主な精神疾患4つ」を見ていきたいと思います。よろしくお願いします。
長期化・高年齢化など、近年、社会問題にもなっている「ひきこもり」。
その多くで何らかの精神疾患・精神症状が影響しているとも言われます。
今回は「引きこもりの原因になる主な精神疾患4つ」を見ていきます。

(2)ひきこもりと精神疾患
「多くの場合で、精神疾患が関与する」とされます。
<ひきこもりとは>
ひきこもりは長期間交流を絶ち、家に原則ずっといる状態です。
6カ月以上といわれますが、実際は年単位のことも多いです。
約150万人いるとされ、40代以上の方が4から5割、かなり高い割合を占めると最近では言われます。
<ひきこもりの原因と背景>
ひきこもりは定義上、原因の制約が特にありません。
いろいろ複合した要素があって、精神疾患は関係ないこともあります。
ただ、一方で精神疾患が影響することもまた多いとも言われます。
そしてもし精神疾患が原因であれば、治療と改善の余地があります。
<精神科治療とひきこもり改善>
精神疾患があった場合、精神科を受診して診断を受けて治療をすることで、精神症状がうまくいくと改善します。
そうすると、引きこもりの原因も減って結果、ひきこもりも改善することを見込みます。
<治療の効果と限界>
もし純粋な精神症状の要素が大きければ、治療でかなり改善を見込めます。
一方で慢性化していたり、治療しても残る症状が強く影響する場合だと、効果は限定的です。
そして、発達障害など生来の特性に関しては、なかなか改善が望みにくい部分があります。
そのように限界は一部ありますが、取り組みは重要です。

(3)ひきこもりの原因になる主な精神疾患4つ
もし精神疾患があれば、診断・治療で改善の余地があります。
①うつ病
「うつ症状から外に出られない」状態です。
<うつ病とは>
うつ病は落ち込みなどを症状が続く脳の不調です。
脳の「セロトニン」という物質の不足などが背景とされます。
基本的には、抗うつ薬SSRIで治療します。
慢性化した時に関しては、むしろ動く「行動活性化」などが有効とされます。
<引きこもりに至る背景>
「意欲の低下」やる気が全く出なくなり、外に出られなくなることがあります。
そして、「うつ症状」落ち込みなどで考えすぎてしまい、社会との接点を失う場合があります。
そして、しばしば「不安」の症状も強く合併し、それで人と関われなくなる場合もあります。
<治療と対策>
まずは「抗うつ薬SSRI」がうつ不安に有効なことが多いです。
その中で意欲には、徐々にでも動く「行動活性化」をすることがあります。
そして、考え方のくせに関しては、別の見方を探す「認知再構成」という方法をとることがあります。
②社会不安障害
「強い不安から外出も回避する」ことがあります。
<社会不安障害とは>
社会不安障害は「人や人前への強い不安」が出る精神疾患です。
そして、不安な場面を「回避」することが多くなります。
治療は「抗うつ薬」を主に使い、不安に慣らす「脱感作」を併用していきます。
<ひきこもりに至る背景>
まずは強い対人不安と回避が影響します。
その中で人がいる所への回避が広がり、外にも出られない状態になる場合があります。
そして、直面せず回避を続けることで慢性化してしまいやすいです。
<治療と対策>
まずは「抗うつ薬SSRI」で「不安の改善」を図ります。
そこに加える形で不安な場面に徐々に慣らす「脱感作」を並行していきます。
そして、自己肯定感が下がっている場合が多いため、「小さい成功体験」を重ねての自己肯定感改善を並行します。
③発達障害
「生来の対人面の困難に二次障害が」重なります。
<発達障害とは>
発達障害は、得意と苦手の差が大きい生来の脳の特徴です。
このばらつきを背景に、生活や対人面に困難が出やすいです。
そして不適応の持続などから、うつなどの二次障害がよく合併します。
<主な発達障害>
①ADHD
ADHDは不注意・多動・衝動性の3つが特徴の発達障害で、失言や衝動的なイライラなどが目立ちます。
②ASD(自閉症スペクトラム)
ASDは「社会性の障害」「こだわり」この2つが特徴的な発達障害で、「場の空気を読まない言動」が目立ちます。
<発達障害の二次障害>
発達障害の二次障害は、ストレスが続くと出るうつや不安などの「二次的な精神不調」です。
特性自体と比べると予防したり、治療したりする余地はあります。
一方で、重症化しやすさもあり、引きこもりに至るリスクにもなります。
<ひきこもりに至る背景>
まず元来、対人的な苦手さなどがあって孤立しやすいです。
そこに不適応などからの「二次障害」うつ、対人不安などが加わります。
その中で、不登校などを経てひきこもりに至る場合があります。
<治療と対策>
薬の治療は主に「二次障害の改善」を見込むものです。
特性に関しては、地道な対策を要し、すぐには変わらないです。
なので就労移行支援などの社会資源も活用し、徐々に改善を図っていきます。
④統合失調症
「被害妄想からひきこもることも」あります。
<統合失調症とは>
統合失調症は悪化した時に幻聴や妄想などが目立つ脳の病気です。
脳の「ドーパミン」という物質の作用の過剰が背景とされます。
主に抗精神病薬という「ドーパミン作用を抑える薬」を続けて、改善した後も続けていきます。
<統合失調症の主な症状>
1)陽性症状
脳が敏感になるための症状で、幻聴や被害妄想などが特に急性期で目立ちます。
2)陰性症状
意欲がなくなったり気力が低下する、いわゆる「後遺症的な」症状で、生活に影響します。
3)認知機能障害
物事を考えたり実行することが苦手になる障害で、生活に影響が出ます。
<ひきこもりに至る背景>
まずは「幻聴」や「被害妄想」に支配され、外に出られなくなってしまう方がいます。
そして「陰性症状の強さ」から意欲が出なくなって、ひきこもりになってしまう方がいます。
もう一つ「認知機能障害」思考や行動の苦手の悪化から生活が困難になり、余力がなくなりひきこもる場合があります。
<治療と対策>
まずは「抗精神病薬の開始と継続」が土台になります。特に「幻聴」や「被害妄想」等の陽性症状は改善することが多いです。
そして「陰性症状など」には、デイケアなどの活動の枠組みも設定していくことが有効です。
まら「認知機能障害」等の生活面には、訪問看護など生活面のサポートが時に有効です。

(4)まとめ
今回は「ひきこもりの原因になる主な精神疾患4つ」を見てきました。
ひきこもりの多くの背景に何らかの精神疾患があるとされ、代表的なものは以下の4つです。
①うつ病
②社会不安障害
③発達障害
④統合失調症
もし精神疾患が背景にある場合は、受診・診断・治療で改善の余地があります。
なので何らか疾患を疑う状態がある場合は、受診をするのも選択肢になります。

こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
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【解説者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。