内科医も知らない!薬の副作用で夜間頻尿

視聴回数 270,681
0
0
【参考文献】
夜間頻尿ガイドライン第2版
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/37_nocturia_v2-2.pdf
下部尿路機能障害(排尿障害)に対する ガイドラインを踏まえた高齢者診療
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/59/2/59_59.115/_pdf/-char/en

0:00 タイトル
0:50 目次
1:38 ①水分過剰摂取
3:12 ②抗利尿ホルモンの乱れ
3:58 ③足のむくみ
5:24 ④血圧コントロールを
5:55 ⑤薬剤性
7:04 ⑥膀胱蓄尿障害
7:36 ⑦睡眠障害
8:10 ⑧睡眠障害のセルフケア
8:45 ⑨夜スマホを見ない
9:32 ⑩15分間入浴
10:24 まとめ

この動画の内容は、2020年発行の夜間頻尿ガイドラインに基づいています。
私は、専門外の医者ですが、ガイドラインを熟読して理解して、同期の泌尿器科医にも聞きながら動画をまとめています。

本日お話しする内容はおおきく4つです。

1夜トイレが近くなる原因は水分の取りすぎ、ホルモンバランスの乱れ、脚のむくみ
2薬が原因で夜間頻尿になる事もある。
3膀胱の問題や前立腺肥大の場合は、薬が効くので、泌尿器科を受診を
4トイレに行きたくて目が覚めるのでなく睡眠障害で、目が覚める可能性も

それでは順番に解説していきます。

まず最初に知っておきたい、夜おしっこが近くなる理由は3つです。
水分の取りすぎ、ホルモンバランスの乱れ、脚のむくみです。

水分をたくさんとるから、トイレが近くなる。
水分を制限すれば、夜にトイレで起きなくなります。
当たり前すぎますが、意外と水分を多く取っている人がいます。
健康のためにとか、熱中症予防に、血がドロドロにならないようにと水をとりすぎてはいないでしょうか。
そうです、夏は熱中症になるから、脳梗塞になりやすいからと、水をたくさん飲みましょうといわれてます。
たしかに、脱水になると脳梗塞になりやすいのは間違いありません。
しかしその理由として血液がドロドロになっているからという根拠は全くありません
水をたくさん飲んでも余分な水分は血管の外にいくので、サラサラになるわけではありません。
夏場汗をかく方でしたらその分の水分は必要です。
でも冷房の効いた部屋で過ごす場合は、特に多く水を飲む必要はないのです。

ではどれくらいの水を飲めば良いのでしょうか。
体重の2から2.5%に相当する量がちょうどよいとされています。
体重が40から50㎏であれば、水分は1000mlです。
ここに食事から得られる水分は含まれていません。
和食は水分量が多いので、3食きちんと食事を取って、その他に液体として1Lのみましょう。
ちなみに、水分の少ない洋食をたべるアメリカでは1日1.5Lが推奨されています。
健康のために、水をたくさん飲んでいて、頻尿の方は、水を制限することをお勧めします
夕食後は水分を控えめに、特に寝る直前には水分を取らないようにしましょう。
飲水後1時間で50ml程度の尿が作られるからです。
寝汗をかかない熱帯夜以外は、寝る2〜3時間前にコップ1杯の水を取るだけがよいと思います。

夜間頻尿になる2つ目の理由は、ホルモンバランスの乱れです。
男性ホルモンとか女性ホルモンの話ではありません。
おしっこが出ないように貯めておくホルモン、抗利尿ホルモンが出てこなくなってトイレが近くなります。
人間は、夜間に多く尿を貯めるホルモンがでて、トイレの回数を減らしているのです。
年を取ると、このホルモンがうまく分泌されなくなります。
おしっこを膀胱にためておけなくなってトイレに行く回数が増えるのです。
カフェインやアルコールも、このホルモンを抑え、尿を膀胱に溜めておけなくします。
なので、コーヒーや紅茶、緑茶を飲むと、とたんにトイレに行きたくなるのです。
寝る3から4時間前には、カフェインを含む飲み物やアルコールはさけてください。
食事が遅い人は、夕食の時に日本茶をすすることも止めた方がよいかもしれません。

足のむくみが、夜にトイレが近くなる原因の3つ目です。
足に溜った水分が、寝ると腎臓にまわってきて、尿をたくさんつくるからです。
昼間に、重力で下半身に水分が溜まって足がむくんできます。
夜寝る時に、横になると、体が水平になり脚と心臓が同じ高さになります。
そのため下半身に溜っていた水分が、心臓に戻り、全身を巡る血液の量が増えてしまいます。
横になると、腎臓に回る血液の量も増えて、夜におしっこが急にたくさん作られ、トイレに起きてしまうわけです。

一日立ち仕事で、寝る時に初めて横になるような方は、特に注意が必要です。
高齢の方は、立っていなくても、一日生活していると、足がむくんできます。
心臓のポンプの機能が落ちてしまい、下半身の血液を心臓に戻すことができなくなっているからです。
これらの足のむくみを防止するには、足をあげることです。
昼休みでも夕方でも、足の下に座布団を置いて足を高くして数分でも横になりましょう。
夕方に寝転がって、足をソファーの上においてスマホやテレビを見るだけでも良いです。
夕方に、散歩をしたり、スクワットなどで下半身を動かすこともお勧めします。
朝ではなくて夕方や夜に行うのがポイントです。
日中は、足の血管を締め付ける弾性ストッキング、むくみ防止靴下を履くのも効果的です。
昼間の水分を夕方に心臓に戻して、寝る前までには、尿として外に出してしまいましょう。


高血圧も夜間頻尿と関連していると報告されています。
健康な若い人は、夜間は血圧が低下します。
そうすると寝るときに横になっても、腎臓の血液の量が増えないので、尿が作られません。
一方、高血圧の人は夜間に血圧がさがりません。
そのため、腎臓の血液の量も減らないため、昼間と同じ回数尿が作られるのです。
夜に痛み止めを飲むと、腎臓の血液量を減らすため、夜間の尿量が減る場合があります。
夜間頻尿の治療には使われませんが、痛み止めの薬が、夜間頻尿に効果があると知られています。



逆に、薬のせいで夜間頻尿になっている場合もあります。
安定剤、眠剤などは、副作用として口の渇きがおこります。
これらの薬を飲んでいると、口が乾くと感じ、水分を無意識にとってしまいがちです。
こうすると水分過剰摂取となり、トイレに行く回数が増えます。

また日本で一番使われている高血圧の薬でも、夜間頻尿になります。
ニフェジピン、アムロジピン、ノルバスクというカルシウム拮抗作用のある降圧剤です。
この薬の腎臓の血液を増やす作用と、足がむくむという副作用によるものです。
この薬は、推定1000万人が飲んでいて、そのうち14% の人で足のむくみがおこると言われています。
つまり140万人の日本人がむくみをおこして、夜間頻尿に悩んでいるかもしれないのです。


特に中年以降の女性はこの薬を別なタイプの降圧剤に切り替えると、夜のトイレの回数が大きく減る人もおおいそうです。
ヨーロッパでは一般的な知識ですが、日本では、内科の先生も知らないで処方している場合も多いようです。
だからといって、この薬を自分の判断でやめないでください。
この薬の副作用かもしれないと、やんわりと主治医の先生に聴いてみてください。


過活動膀胱などの膀胱の病気や前立腺肥大などは、セルフケアではどうにもなりません。
トイレでおしっこの切れの悪い男性や、時々力んだ時に尿漏れをしてしまう女性。
さっきトイレに行ったばっかりなのにまたすぐにトイレに行きたくなる。
おしっこをしても、まだ膀胱に尿がたまっている感じがする。
このような場合は、我慢せず、恥ずかしがらずに泌尿器科を受診しましょう。
わたしも同期の泌尿器科の先生にお世話になっています。
色々な種類の薬がでてきていますので、ぜひ一度相談してみることをおすすめします。



水分も制限して、過活動膀胱などの症状もない。
それでも夜中に一度はおきてしまう。
起きた時にトイレに行ってもそんなに尿はでない。
このような場合は睡眠が浅くなっているかもしれません。
トイレでおきるというより、オシッコ以外のちょっとした刺激で目が覚めやすく、熟睡していないのかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群といった、睡眠障害の可能性もあるのです。
一緒に寝ている家族にイビキはしていないか、 みてもらいましょう。
イビキについては私の専門です。
コチラの動画で解説していますのでまだ見ていない方は、是非クリックしてみて下さい。


最後に睡眠の質を良くする簡単な方法を3つ紹介します。
1つ目は、朝起きたら決まった時間に光を浴びることです。
眠気のホルモンをブロックして目が冴えるからです。
目から網膜に日光がとどくと、眠気を引き起こすホルモンの分泌が抑えられます。
そして14から16時間後に再び分泌されます。
このタイミングで布団に入るとグッスリ眠れるわけです。
朝の6時頃に日の光を浴びれば21時位に眠くなり自然に眠れます。
日光を決まった時間に浴びると睡眠のリズムが整えられるのです。

決まった時間がポイントです。
もし日の出の早い夏の4時に目が覚めても、日光は6時まで浴びないでください。
朝4時に光を浴びると、下手をすると18時には眠くなってしまうからです。
夏は冬と同じく6時くらいにカーテンを開けると良いでしょう。

同じ理由で夜眠る前に強い光を浴びないでください。
網膜に明るい光が届くと、せっかくでてきた眠気のホルモンをまた押さえ込んでしまいます。
夜の強い光は、スマホやテレビなどのブルーライトです。
寝る1時間前には、スマホやテレビを見ないようにして照明を暗くして、寝る準備をしましょう。
スマホを使うならば、ダークモードの使用がオススメです。
スマホのバックが黒を基調に、文字が白く表示された画面です。
私は日中もダークモードを使っています。
文字が読みやすくなりますし、目の負担もへります。

3つ目は、光でなく、体温で睡眠のリズムを整える方法です。
寝床に入る90分前にお風呂に入り、15分以上湯船につかってください。
お風呂から上がって、1時間位経つと体温が下がってきて、眠気が引き起こされます。
体温を一時的に少し上げることで下がるときに眠気がでてよく眠れるようになるのです。
湯船につかることで体の芯まで温まり、体温があがります。
だからシャワーではだめですし、熱いお湯に数分入浴するのもいけません。
じっくりと湯船につかることで、血管も広がり、リラックス効果もでて一石二鳥なのです。
体温がさがるのに1時間はかかります。
22時にふとんに入るとして、20時30分にはお風呂に入って湯船にゆっくりつかり、21時には上がって眠る準備をしましょう。
そうすれば5時から6時までグッスリ眠れるはずです。

以上夜間頻尿の原因と対処方法をお話ししました。
10個のセルフケアをまとめます。

1 水分を制限しても血はドロドロにはならないから一日の飲料水は1lまで。
2 寝る前の3時間は、アルコールやお茶などのカフェイン類を飲まない。
3 足のむくみをとるように、日中、足を上げて横になろう
4 足のむくみをとるために、夕方に散歩やスクワットなどの運動を
5 高血圧なら血圧コントロールを
6 アムロジンやニフェジピン、ノルバスクを飲んでいて、足のむくみがあるなら、血圧の薬を変えてもらおう 
7 おしっこの切れの悪い男性や、尿漏れの多い女性はやはり泌尿器科を受診しよう
 深い睡眠が得られるように
8 朝一定の時間におきて日光を浴びる
9 寝床に入ったらスマホを見ない
10 寝床に入る1〜2時間前に15分お湯につかってあたたまる

以上この動画が良かった方は、イイねをお願いします。