【やすきよ】やすし・きよしに霊がついた!ほんまかいな

2021/06/18 に公開
視聴回数 1,129,141
0
0
やすし・きよしの初期のネタは、やすしが漫才のネタの台本の半分以上を書き、きよしがそのネタに訂正を加える形で行われたという。当初はお互いがお互いを蹴飛ばしたり投げ飛ばしたりし、「黒い背広が(ホコリで)真っ白になった」というほどの激しい「暴力漫才」で名を売った。

また、ライバルを見て、秘策を考えるなど、コンビが成功するために数多くのチャレンジをしていった。「客を波打たせる」をキーワードに、動きのギャグを控えて言葉のギャグの比率を高め、芸にメリハリを付け、間断なく客を笑わせるための芸風の改良をおこなっていった。

やすし・きよしは両方ともボケ・ツッコミができ、漫才の流れによっては、やすしがボケてきよしがツッコミをしている時に、不意にきよしがボケてやすしがツッコむという局面がある。つまり、漫才中に役割(ポジション)が突如交代する。この当時新奇だった形式は「『ボケ』と『ツッコミ』を交互に入れ替える“型破り漫才”」と評された。

また、「やすきよ」の漫才で特徴的なのは、その絶大な人気と、伝説化したやすしという芸人の存在のみならず、ボケがシナリオを外しそれをツッコミが軌道修正してゆくという従来の役割を逆転させ、「一見ツッコミでありながらその実、漫才をリードしてゆくボケ」という手法がやすしによって確立されたところにある。

この「リードするボケ」という観念は、漫才ブームの中でツービート、B&B、島田紳助・松本竜介などのフォロワーを生み、後のダウンタウンにも強い影響を与え(ただし、ダウンタウンの漫才スタンスの違いからやすしとは対立したことがあり、松本人志も漫才に対するスタンスの違いに不満を述べていた時期もあった)、その後の漫才を活性化させた。

やすし・きよしのマネージャーを8年務めた木村政雄は、「やすし・きよしのお二人は、(「漫才ブーム前」と「ブーム後」という)2つの時代を橋渡しした、唯一無二の存在であったと言えるのではないでしょうか。51歳の若さで早逝されたやすしさんばかりが伝説化、神話化されているのに比して、70歳のリアルな姿を今も見せ続けなければいけないきよしが割に合わないと思います。」と評している。