「何でわざわざ変えなきゃいけないの?」し尿収集業者の“担当エリア”突然の変更に困惑と不安広がる

2024/03/29 に公開
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福岡県田川地区のし尿を収集する業者の担当エリアが、急に変更されることになりました。永原譲二・大任町長がトップを務める組合が求めたもので、生活に密接に関わることとあって、突然の変更に業者も住民も困惑しています。


◆「市民生活を守るため」対応急ぐ田川市
村吉勇介田川市議「いきなりですね、こういったお知らせが届いて、いま住民の方が大変困惑している状況です。今のような状況をしっかり改善を早期にしてほしい」

3月26日に田川市長に、緊急の申し入れを行ったのは、し尿収集業者と住民の要請を受けた市議会議員です。

村上卓哉田川市長「早急に事実確認を行った上で、市としてどういう対応をしていくのか、市民生活を守るためにどうしたらいいのか、早期に皆さんにお示しできるようにやってまいります」

多くの住民が不安を感じているのは、し尿の収集事業について。田川地区10万人以上のし尿と浄化槽汚泥は、8つの自治体が参加する「田川地区広域環境衛生施設組合」が処理しています。組合は3月15日、業者がし尿を収集するエリア(区割り)を4月1日から変更する、と突然通知しました。

RKB今林隆史「田川地区のし尿などは、こちらのクリーンセンターに集められています。突然の組合の方針に混乱が広がっています」


◆組合加入の自治体トップも「初めて聞かされた」
決定したのは、組合長を務める大任町の永原譲二町長です

Q.し尿の運搬業者の区割りを変更したのはどうしてですか? 突然すぎるという声も上がっていますが。
永原譲二組合長(大任町長)「…」

撮影と録音を認めず、「防災防火保安上の理由」として傍聴人数を30人に制限して開かれた、組合議会。区割り変更の中身について副組合長を務める複数の自治体トップが、28日に「初めて聞かされた」と証言しました。区割りを変更したい理由として業者間の差をなくす「平準化」のためだと説明した永原組合長。業者に知らせるのが2週間前となった理由について「作業がものすごく膨大」だったと弁明しました。パンフレットなどで自治体から知らせるべきではないかとの意見に対しては「時間的にいとまがありません」と拒否しました。
さらに、住民の戸惑いについて「それのないように業者には徹底しています。許可をやっていますから、責任をもってやりなさいと伝えた」と説明しました。


◆組合長には「意見すらできない」と漏らす業者
ある業者はRKBの取材に対し、「変更で何割かの仕事がなくなる。数千万円の損失が出る」と訴えます。ただ、永原組合長から許可を受ける立場で「意見すらできない」と複数の業者が証言しています。

し尿収集運搬業の関係者「言うこと聞かないと『もう許可取り消すぞ』って言われるのが、もうやはり、怖いですよね。許可取り消しになると、仕事ができなくなるんで。ちょっと反発すると、『許可取り消すぞ、許可欲しくないか』とか、そういう感じですね」


◆永原・大任町長1人に権限が集中
田川地区の住民にとって、プライベートな空間で作業する収集業者は、数十年の付き合いになり信頼関係が重要で、急な変更に不安を訴えます。

田川地区の住民「全然知らない人がいきなり変わりましたっていう中で、やはりすぐは馴染めないような気がしますよね。わざわざ何で変えなきゃいけないの、今」

田川地区ではし尿処理もごみ処理も8つの自治体による組合が行いますが、いずれも永原町長が組合長で権限が1人に集中している形です。ほかの自治体、そして何より住民に十分な説明もなく、区割りを突然変更した永原組合長の手法に対し、今後のほかの事業の先行きについても不安が高まっています。