「忘れられない記憶」中田英寿が世界に衝撃を与えた伝説のセリエAデビュー

2022/07/27 に公開
視聴回数 1,971,901
0
0
「忘れられない記憶」中田英寿が世界に衝撃を与えた伝説のセリエAデビュー
#中田英寿 #セリエAデビュー
三浦知良に続き、日本人としては2人目となるセリエAへの挑戦を決断した 21歳の中田英寿は、イタリアの典型的なプロヴィンチャのクラブである ペルージャで、センセーショナルなデビューを飾り、一躍、イタリアのみならず、欧州のサッカーシーンに名を轟かせた。

 1998年6月、中田英寿は日本代表の一員としてワールドカップ・フランス大会に出場した。しかし、屈辱の3戦全敗で戦いを終えるとメディアの関心は、中田の移籍問題へシフトする。

 7月7日、W杯準決勝の大一番を前に、一部スポーツ紙が中田のイタリア・ペルージャ移籍を1面で大々的に報じた。すると移籍報道はさらに過熱。その後、様々な憶測を呼んだが、7月24日、中田は晴れてペルージャと正式契約を結んだ。“日出ずる国のスーパースター”中田を追い、大挙して押し寄せた日本の報道陣やファンに対して、イタリアのマスメディアは好奇の視線を送った。その結果、セリエAデビュー前に中田は、シニカルな形で取り上げられ、挙げ句には「イタリアでは通用しない」と断言するメディアも現れた。そういった批判的な論評を中田はたった1試合で吹き飛ばすことになる。

 9月13日、セリエA復帰を果たしたペルージャの開幕戦は、前年度の王者であるユヴェントスをホーム、レナート・クーリに迎えて行われた。戦前の予想どおり、ゲームを支配したのはユヴェントスだった。前半だけで3得点を奪われると、スタジアムには明らかに落胆したムードが漂った。実力の差がそのまま点差になって表れた。ところが後半開始直後、中田がその沈滞した空気を打ち破る。右サイドから放った強烈なシュートは、名手アンジェロ・ペルッツィのニアサイドをこじ開けた。さらに7分後には、クロスのこぼれ球に倒れ込むようにしてボレーで叩き込み、1点差に詰め寄る。スタジアムは一気に活気づき、逆にユヴェントスは焦りからミスを連発。ペルージャが攻撃を仕掛けるとスタンドは騒然となった。しかし、ユヴェントスが決定的な4点目を挙げると、再び静けさがスタジアムを支配する。ところがである。試合終了間際にペルージャがPKを獲得すると期せずして、「ナカータ!」の大合唱が沸き起こった。PKはベテランMFに譲ったが、わずか1試合で中田はペルージャのアイドルの座を射止めたのである。翌朝のスポーツ紙は大きな見出しで中田の活躍を伝え、『ガッセッタ・デッロ・スポルト』紙も、『コリエレ・デッロ・スポルト』紙も8.0という高い評価を与えている。