独占!北の守り『北鎮』戦車部隊を緊急取材(2022年4月17日)

2022/04/17 に公開
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ウクライナ侵攻への制裁を強化する日本に反発を強めるロシア。下院議員が「北海道の権利を有している」などと発言したほか、日本海では、ロシアの潜水艦が迎撃が難しいとされる巡航ミサイルを発射しました。こうしたなか、北海道に守りの要として配置されている戦車部隊を独占取材しました。

 北海道の陸上自衛隊第7師団。日本で唯一、戦車部隊が中心となる師団にはおよそ6000人、主力戦車の90式戦車は200両以上、配備されています。

 第7師団・中田実優3陸尉:「本当に(戦車の)爆音と轟音(ごうおん)でとても迫力があって、そこが自分はすごく魅力の一つかなと思います」

 戦車部隊を率いる小隊長の中田実優さんは愛知県出身で、北海道が初の勤務地。

 第7師団・中田実優3陸尉:「全然違いますね。(4月上旬に)桜も全く咲きませんし、雪かきもすごく大変でしたし、違うことだらけですね」

 1両の戦車には、戦車を操縦する操縦手、戦車砲や機関銃を撃つ砲手、そして全体の指揮を執る車長の3人が乗ります。中田さんは車長として4両の戦車小隊を率いています。

 第7師団・中田実優3陸尉:「右って言ったのに左に切る隊員とかもたまにいるので、止まれ!みたいな、ちょっと怒ったりとか、もちろんありますね」

 中田さんが乗っている90式戦車の内部は自衛官以外、入ることはできません。そのため、隊員に撮影してもらいました。

 第7師団・中田実優3陸尉:「外の状況を見る時に使う1倍鏡になります。合計8面ついていて、全方位確認できるようになっています」

 戦車は敵からの攻撃を受けた際に被害を最小限にし、見つかりにくくするため、なるべく小さな窓が配置されています。車内の灯りも潜水艦などと同じで、夜間は赤色灯を使います。

 第7師団・中田実優3陸尉:「こちらについては、砲身の脇にある小型の機関銃を設置する場所になります」「(Q.その機関銃は、先ほどのハンドルで動かせる?)こちらのハンドルで砲身と機関銃ともに動かすことができます」

 音を立てず、エンジンを切った状態で敵を狙撃するよう、砲身をハンドルで回しながら上下、そして左右に動かすこともできると言います。

 第7師団・中田実優3陸尉:「撃った時の弾の一部が跳ね返ってくるのを防ぐための板になります」「こちらがウインカーですね。右と左で」「こちらが1~4速が自動的に切り替わります。4速だと最高速度が(時速)70キロまで出せます」

 操縦席には、シートベルトやサイドブレーキなどが標準装備。また、戦車は小川などを渡ることもできます。

 第7師団・中田実優3陸尉:「こちらは、潜水と排水の切り替えボタンになります。川を徒渉(としょう)した後に排水に切り替えると、水を排出することができます」

 戦車は、大型特殊自動車。そのため、自衛隊で取得する専用の資格が必要になります。

 北海道大演習場。全国で2番目に大きい自衛隊の演習場で、戦車部隊も射撃訓練のほかに、操縦訓練も行います。

 戦車の足回りは特有の機能のため、普通の車両だと、凸凹道では、かなり激しく揺れ、窓ガラスも泥だらけになってしまいます。

 ところが、戦車での走行だと、先ほどのトラックと走った時とは大違いです。全然揺れません。非常に安定感があります。

 そして、戦車ならではの走行も。一見、後ろを向いて進んでいるように見えますが、実はこれ、砲身だけを後ろに向けて進む訓練。前だけではなく、後ろからの攻撃に備えながら移動することもあるといいます。

 北海道大演習場で行う射撃訓練。はるか彼方、肉眼で何とか見える、およそ2、3キロ先の的を貫通。後ろの土が雪とともに飛び散ります。この射撃のためには、あらゆる準備が欠かせません。

 第7師団・中田実優3陸尉:「レチクルというのは、この中に十字線が切ってあるんですけど、照準を合わす作業です。ズレますね、天候であったりとか、砲も鉄なので上から日光があたると、ちょっと垂れてきちゃったりとかしちゃうので。風にあおられたりとかしちゃうとドンドンズレていってしまうので」

 中田さんらの小隊は、去年行われた北海道での射撃訓練の大会で優勝。

 第7師団・中田実優3陸尉:「毎回毎回、訓練して隊員の皆と話し合って何ができなかったのか、できたのか。じゃあ、次どうするのかっていうことをすごく分析しあった結果のいい結果だったと思っています」

 信頼関係を高めあった成果だと強調します。

 第7師団・中田実優3陸尉:「ずっと一緒に乗員を組んで乗るっていうのが一番、信頼が生まれやすいのかなと思います」

 日々、訓練に励む「北鎮」の戦車部隊。この日、戦車砲の砲弾の積み込みを行います。

 隊員:「今回、訓練に使用している弾は120ミリ戦車砲。対戦車榴弾(りゅうだん)というもので、射撃で発射した後に目標にぶつかると破裂する弾。この他に同じく120ミリ戦車砲徹甲弾、まっすぐ飛んで行って、ぶつかるとそのものを貫通する能力を持っている弾も撃つことができます」「(Q.重そうですね)大体20キロぐらいある感じです」

 ロシア軍によるウクライナ侵攻。ロシアの下院議員は「北海道はロシアのもの」などと発言。北方領土では、軍事演習も頻繁に行われています。そして日本海でもまた、潜水艦から迎撃が難しいとされる巡航ミサイルを発射しました。

 ロシアとの北方領土問題を抱える日本。戦前、冷戦時代から万が一、ロシアが上陸した場合などに備え、防衛省自衛隊は、戦車部隊を中心とした戦力を北海道に配備しています。

 第7師団北恵庭駐屯地司令・梅田宗法1陸佐:「今回のロシアのウクライナへの侵略行為については、国際社会の根幹を揺るがすような行為です。私個人としても深刻に受け止めています」

 自衛隊が北海道に戦車部隊を置く理由は、広大な大地が必要なためと言います。

 第7師団北恵庭駐屯地司令・梅田宗法1陸佐:「戦車部隊が練度を維持向上するためには、非常に広い演習場が必要です。北をしっかり守るというところに対しては、冷戦時に自衛隊ができてから、今も変わらないと考えています」

 今回、取材した第7師団の戦車部隊は、その中枢を担っていて、警戒を怠らず、任務の遂行にまい進しています。

 第7師団・中田実優3陸尉:「がっちり守る防御じゃなくて、とりあえず接触、敵とあたってそこで足止めをして侵攻を遅らせるという形の防御の訓練をしています。主には植生の影に隠れたりだとか、稜線の下に隠れて、なるべくばれないように戦車を隠して、また障害を設置して頂いて、そこで敵を止めたところを射撃したり、そういう訓練をしています」

 中田さんも、守りに重点を置きながら訓練の意識を高めていると言います。

 第7師団・中田実優3陸尉:「国民を守るっていう意識は常に持っていて、今ももちろん高まっていますので、与えられた任務を達成できるように、訓練に励んでいきたいと思っています」
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