福岡市“オフィス市場”半年ぶりに「空室率」5%割る 大規模ビルは2026年までに13棟竣工

2023/09/26 に公開
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ビルの建て替えが進んでいる福岡市の中心部で、オフィスの市場に変化が見られています。オフィスの空室率が「供給過剰」と見る目安は5%。福岡市では6か月ぶりに5%を下回りました。


◆2023年は7棟の大規模ビルがすでに竣工
RKB三浦良介「福岡市の再開発事業=天神ビッグバン。福ビル街区に建設中のオフィスビルもだんだんと姿を現しています」

福岡市の都心部・天神や博多駅周辺では、1フロア200坪以上の大規模ビルが今年はすでに7棟竣工。2024年12月には西鉄が手がける19階建ての複合ビル、2026年3月には天神のイムズが20階建ての複合ビルに生まれ変わるなど、2026年までに新たに13棟の大規模ビルが竣工する予定です。


◆ハイレベルのオフィスに入居した企業は
4月に開業した「福岡大名ガーデンシティ」。高級ホテルザ・リッツ・カールトンが入る25階建てのビルで、5~16階がオフィスフロアです。企業の新卒採用や新規顧客の獲得をサポートするマーケティング会社「あつまる」は5月、福岡本社を近くにできた福岡大名ガーデンシティの7階に移転させました。

あつまる 石井陽介社長「こちらがバーカウンター。社員同士がお茶しながら、夜はお酒を飲みながらコミュニケーションを取るスペースになっています。日本トップレベルのオフィスで働くことによって、高いクリエイティブレベルを意識してほしい」

社員「全然やっぱり違いますね。こんなに環境が変わるんだと。テンションも上がるし」「部室みたいなところから始まったので、まさか同じ会社と思えないぐらい。周りの友達や家族が『すごいね』と一緒に喜んでくれる」


◆空室率の低下には成約が進んだ事情が
福岡大名ガーデンシティの賃料は1坪あたり3万円程度で、市全体の平均賃料の2倍以上です。賃料の高さがネックとなり、開業から5か月が経った現在、オフィスフロアの入居率は5割程度にとどまっています。ただ、オフィスの仲介業者は、「高価格帯のビルはテナント誘致に時間を要しているが、オフィス需要は活発な状況が続いている」と分析しています。

三幸エステート福岡支店 森本泰史営業部長「大規模ビルの竣工が2021年から始まり、それらのビルが順調に今年に入って成約されたということが、空室率が5%を半年ぶりに下回った大きな要因かと思います」


◆新築ビルへのオフィス移転の動きが活発
8月末時点の福岡市のオフィス空室率は4.94%で、供給過剰の指標となる5%を6か月ぶりに下回りました。エリア別では天神エリアが5.5%に対し、博多駅前エリアは4.3%と、新築ビルへの移転の動きが活発です。博多スターレーンの跡地に2022年8月に竣工した「博多イーストテラス」の入居率は97%で、ほぼ完売となりました。

三幸エステート福岡支店 森本泰史営業部長「セキュリティの強化や、通信機能をより高めたいとかのニーズに対して、現状のビルだと対応が難しいという判断から、新規出店および築年数の経過しているビルからの移転も相まっているのが、福岡の需要の特徴」


◆まだ増えるオフィス
一方、2024年以降もオフィスの床面積は増える見込みで、テナントが誘致できなければ供給過剰になる可能性も、ゼロではありません。

三幸エステート福岡支店 森本泰史営業部長「今年が約2万5000坪、来年以降もほぼ同じ水準で竣工して、2026年は3万坪を超える勢いになります。需要と供給のバランスで見れば、供給の方が上回るのは否めないが、新たな需要が創出・喚起されることもあると思いますので、必ずしもネガティブな見方だけはしていません」

老朽化したビルからハイグレードなオフィスビルへと、建て替えが進む福岡市。今後、国の内外からどのような企業を誘致できるのかが注目されています。