【懸命の捜索】見つけてあげたい…災害救助犬「陸」と女性ハンドラー11日間の活動記録。

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能登半島地震の被災地で、ガレキの中を歩く犬。実はこれ、飼い主を探しているのではなく、行方不明者を見つけ出す「災害救助犬」です。

あの地震が起きた夜、兵庫県伊丹市から被災地に向けて出発した「災害救助犬」を追いました。


兵庫県伊丹市に本部を置く『日本(にほん)レスキュー協会』は、阪神・淡路大震災をきっかけに活動をスタートした、「災害救助犬」に特化した民間のレスキュー機関です。運営は募金などの寄付によって賄われています。人の100万倍とも1000万倍ともいわれる優れた嗅覚で人間の息を嗅ぎ取り、地震や土砂災害の現場などでがれきに埋まった人を捜す、災害救助犬。

災害救助犬の育成や指導をする「ハンドラー」の髙木美佑希(たかき・みゆき)さんは、相棒のジャーマンシェパード「陸(りく)」と、ラブラドールレトリバーの「太陽(たいよう)」とともに、能登半島地震の被災地で救助活動を終え、帰還。その11日間の記録です。

1月1日午後4時10分、能登半島地震が発生。ほどなくして髙木さんたちは、本部に集まりました。

【日本レスキュー協会 髙木美佑希さん】
「災害救助犬の要請が被災地からすぐに来るということはまずありえない。なので私たち団体から打診をしてこういった犬がいるという連絡をして」

午後8時過ぎ、スタッフ7人と災害救助犬2頭が被災地に向けて出発。

【日本レスキュー協会 髙木美佑希さん】
「必ず救助犬が必要になる現場であるということは、報道を見る限りわかっていたので移動している最中に、珠洲市と連絡が取れて」

震源に近く、被害も大きかった珠洲市をめざすも、髙木さんたちを待っていたのは、道路の亀裂や土砂崩れ…到着できたのは、翌日の午後3時半でした。その後、消防と連携し、安否不明者情報などを共有。

【日本レスキュー協会 髙木美佑希さん】
Q.現場の第一印象は?
「率直に怖いなというのはすごく感じた。今、私たちにできることをしようという気持ちでいっぱいだった」

古い街並み。木造建築が軒を連らね、多くの家屋が倒壊した能登半島地震。厳しい寒さと行く手を阻むガレキに、全国から集まった救助隊の捜索も困難を極める中、人間では入っていけない場所で、匂いを頼りに行方不明者を探す「災害救助犬」。

1月2日、生存の可能性がある「72時間」の壁が迫る中、夜間も懸命な捜索が行われました。

翌日も救助隊と倒壊した建物を捜索。「陸」は、人間でいうと40歳。生後間もなく、災害救助犬としての訓練を受けてきました。この日は、崩れた建物やガレキに埋まった人がいないか、目では確認できない場所を丹念に捜索します。災害救助犬は通常、人の吐く息を嗅ぎ付けて行方不明者を捜し、発見した場合はこのように…「ワンワン」「要救助者、行方不明者がいると強くワンワンと吠えて告知をする。今回の現場では残念ながらそういった強い反応はなかった。

1月4日。1階が崩れてしまい、中に入れなくなった家を捜索します。

臆することなく瓦の上を歩く「陸」ですが、災害現場での足場の悪さは当たり前。
このような細いシーソーの上を歩かせたり「前へ」「待て!」高く不安定な場所に慣れさせるといった日ごろの厳しい訓練の成果がいかされていました。

「救助犬は特にこの大きさでなければという規定はないが、小さすぎると骨折のリスクが高まってしまったり、あまり大きすぎると犬を輸送するシーンもあるので」

犬種は問わないものの、抱き上げられる大きさがベストだということです。
そしてこの日も大きな余震が…

「緊急退避というような場面もあった。地震がきて笛が鳴って私たちも捜索を中断して、余震が起きた際はとにかく犬を呼んで一緒に逃げる。ハンドラーと犬との信頼関係というのが、犬たちがけがをしないようにそういった関係性を構築するのが大事」

髙木さんは、なぜこの仕事を志したのでしょうか?
「一番大きなきっかけとなったのは、東日本大震災電車が止まってしまって帰れない状況に」

当時大学生で、神奈川県に住んでいた髙木さん。もともと動物好きだったことと、被災地の役に立ちたいという思いが、「災害救助犬」のハンドラーという道に行きついたのです。

2014年、髙木さんが初めて向かった被災地は、広島の土砂災害の現場。

「まだまだ1年目だったし、連れている犬も現場に連れていくというレベルではなかったのでその時はサポートとして現場に入った」

しかし、その時の光景は、今でも忘れることができません。

「本当に言葉が出ないというのが、その通りの表現になるがきのうまで日常だった生活が、きょうどうしてこうなってしまうんだろう。きのうまで一緒に会話で来ていた人がきょういなくなってしまうということが私にとってもすごく受け入れがたい状況でした。家族がそばで見守っていた。本当に行方不明になった人の家族のことを思うと、本当に辛い状況というのも感じたし、だからこそ、自分にできることはなんだろうかという」

1月6日
石川県が発表した能登半島地震の安否不明者は、この日時点で210人に。
行方不明者を見つけ、早く家族のもとへ…この日も「陸」との懸命な捜索が続きました。

5か所目の倒壊家屋の捜索を終え、車に戻ろうとした、そのとき…
「1軒目の捜索場所で一緒に活動していた救助隊員から、先ほど有り難うございましたと声掛けをもらい、あのあと情報もらって救助犬の反応教えてもらった後にその付近で無事行方不明者発見されましたということで、残念ながら亡くなっていたが、そういった声、救助犬の反応が現場で役に立ったということを聞かせてもらった」

通常は捜索後の情報を知る機会がない中、感謝の気持ちを伝えてくれた救助隊員。

「その時にすごく犬のことをほめて下さって、ワンちゃんって本当にすごいね、この子たちにおいしいお肉でも食べさせてあげて下さいねと、その現場で言ってもらったことは、私たちにとってもすごく励みになった」

今、日本レスキュー協会では、新たな災害救助犬を育成しており、いつでも出動要請にこたえられるよう、準備しているということです。困っている誰かを助けたい…ヒトの「最良の友」といわれる相棒と二人三脚で、髙木さんはきょうも歩き続けます。


#能登半島地震 #災害救助犬 #輪島市
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