“銃撃9日前のDM”から紐解く事件の真相 安倍氏以外の標的も?教団幹部の動向探る(2023年7月9日)

2023/07/10 に公開
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銃撃事件から1年。山上徹也被告はなぜ安倍元総理を狙ったのか?
事件の9日前に山上被告が送ったとされるダイレクトメッセージから事件の真相を紐解いていきます。

■事件から1年…様々な主張渦巻き逮捕者も

(ジャーナリスト鈴木エイト氏)「1つの区切りとして当日にちょうど1年後の様子を体感しよう、この目で見てみようと思ってきました」
銃撃事件の現場をほぼ毎月、訪れている鈴木エイト氏。きのう8日、献花台を訪ねると…
(鈴木エイト氏)「安倍さんの遺影がありますね」
「こいつ、こんなん来てるやん、帰れ」
(鈴木エイト氏)「今ちょうど通りかかった人から『こいつ、こんなんに来てるよ、帰れ』って言われましたね。たぶんそういう方は僕のスタンスを誤解していると思うので。別に安倍元総理が憎くてとか、自民党が嫌いでこの件を追ってきたわけじゃないので」
事件があった午前11時半すぎ…黙とうが捧げられました。現場には、様々な主義主張の人々が…
(鈴木エイト氏)「あの模造銃を持ってる人、あれちょっと悪質ですね。あれはまずいですね」
安倍元総理批判のうちわを手にした男らが持っていたのは、山上被告の手製銃に似せたもの。20代の男が軽犯罪法違反の容疑で逮捕されるなど、現場は一時騒然となりました。
(鈴木エイト氏)「元国家公安委員長です」
事件当時の国家公安委員長で、鈴木氏が教団イベントの出席などを追及してきた二之湯氏。
(鈴木エイト氏)「記事も書かせていただきました」
(前国家公安委員長二之湯智氏)「どんなこと?」
(鈴木エイト氏)「先生が統一教会のイベントに出てたりとか。ご迷惑をおかけしてたらすみません」
(二之湯智氏)「別に迷惑かけてません。政治家っていうのはさ、人が4人も5人も寄ってたら、『そこにちょっと人が寄ってるから来てください』と言われたらね」
(鈴木エイト氏)「二之湯さんもそうやって頼まれた?」
(二之湯智氏)「そうそう」
(鈴木エイト氏)「でも一方で意図的に教団と関係を深く持っていた大物議員もいるんじゃないか」
(二之湯智氏)「まぁそうでしょうね」
鈴木氏は、事件を未然に防げなかったことを悔やんでいます。
(鈴木エイト氏)「僕が明らかにできなかった、社会に問いきれなかった問題を、彼が起こした事件によって可視化されたと思うんですね。それは僕の力不足でもあるんですけど、本来であればそういう被害の元になってるものを規制すべき側、政治家の問題もありますよね、メディアの問題もある。そういったところに改めて問題を突きつけた気はしますよね」

■別の標的も模索?教団幹部の動向探る動き

番組が入手した1通のメール。とある相談機関に送られたもので、差出人は山上被告とみられます。送信されたのは2004年。事件が起こる18年前です。この翌年、山上被告は自殺未遂で病院に搬送。当時、「統一教会によって人生がめちゃくちゃになった」と話していたそうです。

人間関係が希薄だったとされている山上被告ですが、実は事件前、複数人にコンタクトをとっていたことが分かりました。事件前日に投函した手紙には…
「苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」
事件9日前の6月29日、山上被告のものとみられるツイッターのアカウントから、鈴木氏にもダイレクトメッセージが届いていました。
(鈴木エイト氏)「こちらなんですけど、“ダイレクトメッセージが届きました”って、確かに昨年の6月29日に来てたんですね」
今年1月、通知の存在に気づきましたが、山上被告のものとみられるアカウントが凍結されたため、メッセージの内容は見られませんでした。
事件9日前に何を伝えようとしていたのか?山上被告は弁護士を通じ、メッセージの内容をこう明かしています。
「初めまして。家族に信者がおり、統一教会をウォッチしている者です。最近の統一教会ですが7月10日、日曜日にさいたま市民会館、キャパ2000人で何らかの催しがある旨、浦和家庭教会のホームページで礼拝週報から知りました。この大会について参加者等ご存じのことはないでしょうか?」
山上被告が鈴木氏に尋ねたのは、銃撃事件2日後に予定されていた教会のイベントでした。

「埼玉希望フェスティバル」というこの催しは教団によれば浦和家庭教会のファミリーイベントで2000人程度が参加したといいます。
(鈴木エイト氏)「『2000人規模だと、先月ユン・ヨンホ本部長も(日本に)来ていたし、祝福、合同結婚式の関係かもしれませんね』と返して、彼が『ありがとうございます』とやりとりをしていたと」
実は、同じようなダイレクトメッセージが山上被告から教団関係者にも送られていたと、「世界日報」が報じています。「世界日報」は教団の友好団体だと指摘されているメディアです。
教団関係者にダイレクトメッセージが届いたのは鈴木氏が受け取った翌日の6月30日。鈴木氏と同じく10日の教会イベントについての問い合わせだったとみられます。
「これはどんな催しでしょうか?参加できたりしますか?」
世界日報は「場合によっては、教団側はテロの被害者となっていた。そのことが完全に無視されたまま教団へのバッシングが続く言論空間には危ういものがあると言わざるを得ない」と主張しています。
山上被告は安倍元総理銃撃の直前、“別の標的”も探っていたのでしょうか?

(鈴木エイト氏)「2000人規模の大きなイベントだと、これまで韓鶴子総裁であるとか韓国から教団幹部も来ていたので、そういう人間をBプラン的に狙っていた可能性はありますよね」
Q.(安倍氏銃撃に)失敗したらそっちに?
「いろんなターゲットは彼の中でプランはあったのかもしれないですよね」

■いつから?なぜ?安倍氏を標的にした背景

一方、鈴木氏は、山上被告のダイレクトメッセージにあった“ある文言”に衝撃を受けたといいます。
「『やや日刊カルト新聞』を従前からずっと見ていました。エイト氏の日ごろの活動には頭が下がります」
鈴木氏は第2次安倍政権の発足以降、安倍元総理と統一教会の深いつながりを追及する記事をたびたび掲載。
山上被告のものとみられるアカウントはそうした記事を複数リツイートしています。
(鈴木エイト氏)「僕の書いた記事をずっと読んでいたということは、時系列に沿ってリアルタイムで安倍晋三という政治家と統一教会の関係をずっと正確に理解をしてきた、追ってきた。安倍晋三という政治家自体を憤り・恨みの対象とした可能性もある」

4年前、教団トップの韓総裁が来日した際、火炎瓶で襲撃を試みるも会場に入れなかったという山上被告。この一週間後に開設された山上被告のものとみられるツイッターには、こう投稿されています。
(山上被告とみられるツイッターの投稿(2019年10月14日))「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」
韓総裁襲撃に失敗した直後に、標的を安倍元総理に変更した可能性もあります。
(鈴木エイト氏)「なぜ事件が起こってしまったのか、どこかで止めることはできなかったのか、彼の公判がどうなるのか、彼が裁判で何を話すか含めて、彼の裁判には、自分の責任をもってちゃんと見ていこうと思います」

殺人罪などで起訴された山上被告(42)。弁護団によると毎日、複数の新聞で事件に関する報道を読んでいるといいます。公判前整理手続きは、爆発物騒ぎでいったん取り消しになっていて、初公判は来年以降になるとみられます。

7月9日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp