「藤井さんに操られたい」人間将棋に応募者殺到 「~でござる」も流暢に藤井聡太五冠が武者姿で指揮 (22/04/18 15:35)

2022/04/18 に公開
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愛知県瀬戸市出身の藤井聡太五冠が、2021年度の将棋界で、MVPに当たる「最優秀棋士賞」を受賞しました。「最優秀棋士賞」の受賞は2年連続です。一方、17日には武将に扮して「将棋のまち」に現れました。藤井殿、出陣でござる!

 18日の午前11時頃、将棋会館で、2021年度に活躍した棋士を表彰する「将棋大賞」の表彰式が行われました。

「最優秀棋士賞、藤井聡太竜王」(司会者)

 2021年度、最も活躍した「最優秀棋士」には、19歳の藤井聡太五冠が選ばれました。2年連続の受賞です。

 2021年度は、自身が持つ2つのタイトル「棋聖」「王位」の防衛に加え、新たに「叡王」「竜王」「王将」の、3つのタイトル戦を制するなど、破竹の勢いで数多くの戦いをこなした藤井五冠。「最多対局賞」と「最多勝利賞」も受賞しました。

 さらに、藤井五冠が竜王のタイトルを獲得した竜王戦の第4局が、優れた対局に贈られる「名局賞」に輝きました。

「名局賞に選んでいただいた竜王戦第4局では、最終版で非常に難解な局面が現れまして、将棋の大変な奥深さを改めて感じることができました。昨年度の経験を生かし、より一層精進して参ります」(藤井五冠)

 新たなタイトルの獲得など、今年度もさらなる活躍に期待が集まります。

藤井五冠 武者装束で「人間将棋」に出陣

 将棋大賞の受賞式から遡ること、約24時間前の17日(日)。

「いざ、入陣開始!」

 山形県天童市に続々と現れた、甲冑姿の人々。それぞれ東軍、西軍に分かれ、いざ、決戦の火ぶたが切られます。

「藤井聡太殿!」

 陣羽織と袴の武者装束で姿を見せた藤井五冠。西軍として、東軍の佐々木大地六段と争うのは「人間将棋」です。

 将棋の駒の生産量日本一を誇る山形県天童市では、この「人間将棋」が春の風物詩。プロ棋士の指し手に従って、人が将棋の駒の代わりとなり、巨大な盤上を動くというものです。

 2020年と2021年は、新型コロナの影響で中止となり、今年は3年ぶりに開催です。

Q.きょうのお目当ては?
「藤井聡太先生です」(観客)
「藤井聡太くんを目当てに」(観客)
「聡太くんのファンなので」(観客)

武者言葉で意気込み語る 普段は聞けない「対局時の心の声」も

 皆さんのお目当て、藤井五冠が参加した17日は、観覧の応募が殺到。660人の定員に対し、なんと1万人を超える応募があり、倍率は約20倍に。駒を演じる人も公募ですが、定員40人に対して、過去最高の700人以上が応募しました。

 主催した天童市の職員は。

「お申込みいただいた方からすると『藤井さんに操られたい!』という理由でお申込みしたという方もたくさんいらっしゃいましたので。藤井さんの駒になるということは『藤井さんを見ることができないけど、いいですか?』と聞いたんですけど『いや、操られたいんです!』とおっしゃっていました」(天童市 商工観光課 高橋哲也さん)

 対局間際、藤井五冠は意気込みを次のように語りました。

「本日は天童市にお招きいただき、大変うれしゅうござる。佐々木殿と師匠の深浦殿には、よく痛い目に合わされておるので、きょうは借りをかえす絶好の機会じゃ。全軍を躍動させ、勝利を目指したい。いざ、尋常に勝負!」(藤井竜王)

 この武者言葉で、指し手を指示します。

「もらったばかりの飛車じゃが、ここで働いてもらおう。6七飛車」(東軍 佐々木大地六段)
「自陣飛車とは力強い。ここは一度撤退じゃ。4四角」(西軍 藤井竜王)

 普段の対局では聞くことができない、駒を指す時の「心の声」が会場に響き渡ります。

「佐々木殿。9一の香車を取ってくれるようとは、なんて親切な6三銀」(藤井竜王)
「逆王手も織り込み済みじゃ、同金」(藤井竜王)

「人間将棋」は「全ての駒を動かすこと」が勝利条件の一つ。通常の将棋のルールと違い、プロの棋士でも難しいとされていますが、藤井五冠が的確に駒を進めていきます。

主催者は見た 対局前日の「天才が悩む姿」

 対局開始から1時間後。

「悔しいが参った」(佐々木大地六段)

 藤井五冠が勝利。最年少五冠の貫録を見せつけました。

「初めての経験で不安もあったんですけど、東軍の佐々木六段や、解説の木村九段にも助けていただいて、なんとか最後まで務めることができてホッとしています。木村九段が、何でも『ござる』をつければ良いというふうに心強いアドバイスもいただいたので、気が楽になりました」(藤井竜王)

 藤井五冠のお茶目な一面が見られ、大盛り上がりだった「人間将棋」。しかし、前日は悩む姿が目撃されていました。

「前日に打ち合わせをさせて頂いた時は『自分の務めを果たさなければならない』という重圧感を何となく見てて感じていまして」(天童市 商工観光課 高橋哲也さん)

Q.独特の武者言葉も使いこなしているようでしたが?
「ビックリしました、正直。きのうはかなり悩まれていたように思ったんですが、一晩で練習したのかなと思いながら、よく皆さん天才という評価があるのかもしれないですけど、かなり努力されているんだなと感じました」(高橋哲也さん)

今後のスケジュール タイトル戦では初「後輩の挑戦者」と叡王戦へ

 藤井五冠の今後の対局スケジュールです。

 直近のタイトル戦は、4月末からの「叡王戦」です。第1局は4月28日から始まり、6月19日までの五番勝負です。第2局と第4局は、ともに名古屋で行われる予定です。先に3勝した方が勝ちとなります。

 挑戦者は、初のタイトル挑戦権を掴んだ出口若武六段、26歳です。プロ棋士としてのデビューは、藤井五冠よりも若い3年目。藤井五冠が、タイトル戦で後輩の挑戦を受けるのは初めてです。

 2人はこれまでにも対戦したことがあり、直近では、藤井五冠が当時七段だった2020年の棋王戦の予選で、当時四段だった出口さんに藤井五冠は敗れています。

 2021年、立て続けにタイトルを獲得した藤井竜王が、どのような勝負を見せてくれるのか楽しみですね。

(4月18日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)

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