絶景富士山・関東随一の清流…相次ぐマナー違反客 予期せぬ観光地化で自治体困惑【羽鳥慎一モーニングショー】(2024年5月1日)

2024/05/01 に公開
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“山梨県にあるコンビニの屋根越しに富士山を撮影できる”とSNSで拡散され、特に外国人観光客に人気の撮影スポットになりました。ただ、撮影のために危険な道路の横断、ごみの放置などのマナー違反が相次いでいて、町が対策に乗り出しています。

■2年ほど前から人気の撮影スポットに

 富士山の雄大な景色が望める山梨県富士河口湖町で、先月30日に始まった工事が「富士山を目隠し」。富士山を見えないようにするための黒幕を設置するというのです。なぜこのような事態になったのでしょうか?

 富士山を望むコンビニの前に、多くの外国人観光客の姿があります。撮影しているのは、富士山とコンビニ。

中国から来た観光客
「中国ではみんなSNSにここの写真を載せているから、多くの若者が知っているよ」

 「コンビニの上に富士山が乗っているような写真が撮れる」とSNSで話題に。2年ほど前から突如外国人観光客が押し寄せる、人気の撮影スポットになりました。

台湾から来た観光客
「ローソンの青色が背景の富士山とマッチしているわ」

ポーランドから来た観光客
「富士山がローソンの屋根みたいだよね。建物が低くて平らだから、そう見えるよ」

 先月30日はあいにくの曇り空で富士山が見えませんが、富士山のクッキーとコンビニを撮影しています。富士山が曇ってて見えないため、代わりに富士山のクッキーを写しているようです。

 コンビニ自体が観光地化していて、富士山が見えない日でも多くの観光客が来るといいます。

 しかし、人気が過熱するあまりトラブルが…。

■車止めに上って撮影 目隠し工事はじまり続出

 車が行き交う道路をお構いなしに横断していく外国人観光客たち。さらに、後ろから車が来るなか、女性が車道に出て写真を撮っています。

 近隣ではごみが捨てられたり、無断駐車をされたりと迷惑行為が後を絶たず。挙句の果てには、1回300円で写真撮影をする商売を始める人もいました。

 町は、英語や中国語での注意書きを設置したり、警備員を配置するなどの対策をとってきましたが、改善は見られませんでした。そこで町がとった「苦肉の策」とは、先月30日に始まった「目隠し工事」。高さ2.5メートル、幅20メートルの黒幕を設置し、物理的に写真が撮れないようにします。

 工事が始まった先月30日も、コンビニ前には多くの人がいます。すると、工事をしていて思い通りの写真が撮れないなか、少しでもいい写真を撮ろうと、車止めに上って撮影をする人が続出しました。

フィリピンから来た観光客
「見に来る人が住民の平穏を壊すこともあるから仕方ないと思う。富士山を見られる場所は他にもあるし」

イタリアから来た観光客
「幕で隠すのはよくないね、この景色が観光客を集めているから良い策とは思わない」

■新事態…別のコンビニが撮影スポットに

 観光客が殺到し目隠しの幕を張るという事態となるなか、周辺では新たな動きがありました。駅前のコンビニから1キロほど離れた別のコンビニにも多くの人の姿が見られました。

 付近の住民によると2、3カ月前から、こちらのコンビニにも外国人観光客が来るようになり、新たな撮影スポットになっているといいます。

 思い思いのポーズで写真を撮る外国人観光客たち。駐車場には大型の観光バスも止まっています。

マレーシアから来た観光客
「(駅前のコンビニ)あそこは工事をしていて何も見えないと思ったから、こっちに来たんだ。ローソンと富士山があれば問題ないから、こっちで大丈夫」

 町によると、現時点でこちらのコンビニ付近の住民から苦情はないため、特に対応は考えていないといいます。

■“関東随一の清流”人口の数倍の観光客

 予期せぬ観光地化により、自治体が苦慮している場所は他にもあります。

 栃木県鹿沼市を流れる「大芦川」。エメラルドグリーンの絶景に…水面からは冷気があがる幻想的な光景も。抜群の透明度を誇り、“関東随一の清流”とも称されています。

 川には様々な魚が泳いでいて、釣り客にも人気のスポットです。

 春は、川沿いを彩るピンクの「桜」。夏は、美しい木々の「新緑」。夜には、暗闇を無数の蛍が乱舞し、ほのかな光が初夏の訪れを告げます。秋になると、赤や黄色に色付く「紅葉」と「川」「橋」のハーモニー。それぞれの季節で、様々な自然を満喫できます。

 大芦川に隣接するキャンプ場では、ゴールデンウィークということもあり、多くの家族連れなどでにぎわっています。駐車場は車で埋まり、続々と車が入っていきます。

 別のキャンプ場はあまりの人気に、一日の予約数を絞って対応しているといいます。

 東京から2時間ほどのアクセスの良さもあり、首都圏ナンバーが目立ちます。

さいたま市から来た家族
「自然を感じたくて、川もキレイだしね」

 川に飛び込んだり、泳いだり、岩の上に寝そべり日光浴。先月28日、鹿沼の最高気温は「28.7℃」。7月中旬並みの気温で、川遊びをする外国人も多く見られました。

日本在住のフィリピン人グループ
「友達がYouTubeで映像をあげていたんだ。ネットでは『栃木県で一番の川』というコメントもあったからね。木の緑もとても濃くて大好きだよ」

 ネットの口コミなどで、外国人にも人気が広がってきた「大芦川」。鹿沼市によると、西大芦地区の人口は675人。それに比べて観光客は年間数千人訪れるといいます。

 この場所は観光施設ではないため、受け皿が整っておらず、問題となっているのが…。

■ごみ放置、路上駐車…やまぬ迷惑行為

 川の近くには使用された形跡のあるフライパンが捨てられ、近くには使用後の炭が放置されています。さらにカセットボンベも落ちています。

 川には、カップうどんの麺が捨てられています。

 大芦川では、ルールを守らない一部の人たちによるごみなどの「不法投棄」が問題となっています。

 別の日には、テントを張ってバーベキューをする若者たちが肉を焼いたり、たばこを吸ったりしています。

 片付けを始め出すと、1人が手に持っていた何かを川に向かって投げ入れ、その場を離れていきます。

 バーベキューをしていた場所へ降りてみると、まだ熱を持っている炭の近くでは、放置された容器の一部が焼け焦げ、完全に火が消えていない状態です。

 火事の危険があるため、スタッフが消火活動。無事に火や煙は収まり、放置されていたゴミも持ち帰ることに。去っていった方へと向かいますが、すでに姿はありませんでした。

 別の場所では、川でやかんを洗う外国人。隣の外国人は、洗剤で手を洗い、泡が川へと流れていきます。後片付けを終えると「路上駐車」していた車で去っていきました。

 中には「立入禁止」のテープが張られている隙間をくぐって侵入する人もいます。

男性
「(Q.私有地だから入らないように)あっそうなんですか。じゃあ行ってきまーす」

 すぐ横に「私有地」の看板がありますが、注意を聞かず川へと降りていきました。

大芦川沿いに住む人
「一番はごみの不法投棄かな」

大芦川をよく利用する人
「きのうも10人ぐらい(バーベキューで)来ていた。あれもきっと置いていった。あそこに石じゃないやつが見えるだろ、茶色っぽいの。あれで火をたいていた、それで置いていっちゃったの」

■清流守る条例制定 BBQ禁止に

 これまでにも、大芦川では路上駐車やごみの不法投棄などの「観光公害」が問題になっています。住民やボランティア、市の職員でごみ拾いなどを定期的に行ってきましたが市のサポートだけではどうにもならず“苦肉の策”をとることにしました。

 住民の生活と豊かな自然を守るため、鹿沼市は大芦川流域およそ30キロの範囲で、環境保全の条例を制定しました。

 3日からのゴールデンウィークや夏休み期間にバーベキューなど火気を使う調理や花火、騒音を出す迷惑行為を禁止し、重点的にパトロール。違反者には1人あたり5万円以下の過料が科せられます。

大芦川自然クラブ 関谷忠一代表
「(Q.これはいつ拾ったもの?)先週、1週間(分)ぐらい」

 24年間、大芦川の自然を守る活動を行っている関谷さん。「自然の大切さを伝えたい」と、350人以上のメンバーが賛同。定期的にボランティアの人たちなどと協力し、ごみ拾い活動などを行っています。

関谷代表
「一番困るのが、この地域には生活している人たちがいるわけよ。川でみんなで楽しむのはいいが、本当にごく一部の人なのよ。バーベキューの楽しみ方を取り違えちゃって」
「(Q.率直にどうですか?条例ができたのは)大賛成だと僕は思っていますよ。みんな誰もがキレイな川で遊びたい。山の神様の授かりものだから」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年5月1日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp