【北海道】胆振東部地震から4年 道内にある「活断層」のリスク 胆振東部地震を超える揺れの可能性も

2022/09/06 に公開
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2018年に北海道で起きた胆振東部地震では、液状化に見舞われた清田区など、札幌でも大きな被害が出ました。札幌の周辺には胆振東部地震を超える規模の揺れを引き起こす可能性がある、活断層があります。そのリスクを専門家とともに現地で取材しました。

 あの日、液状化に襲われた街。

 24年の月日を経て生まれ変わりました。

 堤武男さん:「あんまり他が新しくなったから、うちらも外観の色を変えたんですよ。」

 札幌市清田区里塚に住む、堤武男さん一家。ことし6月、ようやく家のリフォームが完了しました。

 周りの家に比べ被害が大きくないことから建て直しをせず、家の一部を補修することで済ませていました。しかし、徐々に異変が。

 堤武男さん:「下から持ちあがって(床に)隙間があいて。虫が出て嫌だねって。」

 2年前、家のあちこちに隙間や亀裂が生じたのです。住宅の周りでは当時、地盤改良や道路工事がさかんに行われていました。

 堤武男さん:「音はかなりだよ。振動も響いてくるんです。

 妻・堤益三さん:「(地震から)3年目でリフォームしようと思ったんですが。病気になるのが考えられないくらい元気だったものですから」

 再び大規模なリフォームを検討していた矢先、妻・益三さんが病に見舞われました。治療費も重くのしかかり、リフォームに踏み切れずにいたところ、堤さんに良い報せが届きました。札幌市はことしになり、地盤改良や道路工事の後に家の亀裂が広がっていたことなどを確認。修繕費の一部を市が負担することになりました。

 4年を経て、取り戻しつつある日常。しかし、いまも不安はつきまといます。

 堤益三さん:「地震が来た時にはさっと出られるように、あれ以来電気をつけて服を着て寝ているのは変わらないですね。」

 長男・堤浩章さん:「似たような災害があったときに、あらかじめこう出来ていたらいいなというのを、前もってやっておくことは増えました。」

 北海道内では、先月も最大震度5強の揺れが観測されました。地震がいつ起きるのかは誰にもわかりません。

 胆振東部地震を超える規模の揺れ。それを引き起こす可能性を示唆する場所が札幌近郊にあります。専門家とともに取材しました。
 
 道総研エネルギー・環境・地質研究所 広瀬亘主査:「一見するとここ、普通の坂のように見えるんですけれど、実は地下深くの活断層が動くことによって少しずつ隆起してできた坂ということになります」

 札幌の隣町・江別市野幌。草地に現れた小さな丘のような場所はかつて地震が起きたことを示す証拠だといいます。

 この周辺の地下に眠るのは「野幌丘陵断層帯」。断層は10万年以上前から繰り返し地震を引き起こし、平地だった場所がおよそ20メートル以上隆起しました。

広瀬亘主査:「1つ言えることは確実にこの地域の台地側の地下深くに活断層があるということ。この辺りに住む人としては、もしかしたら自分たちが生きている間に大きな地震が起きるかもしれない。」

 札幌市はこの断層帯の活動により、最大でマグニチュード7.5の地震が起きると想定。胆振東部地震を上回る規模です。

 予測最大震度は7。市内の大部分で震度5強以上の揺れを観測し最悪の場合、死者数は1600人以上にのぼると想定しています。

 (記者の質問)次、いつこの断層による地震が起きるかという予測はあるんでしょうか?

 広瀬亘主査:「それに関してはわからないというのが実態です。いつ起きてもおかしくないというつもりでいたほうがいいのかなと思います。」

 危険を示唆する場所は他にもー

 山上暢記者:「あちらの道路の先若干盛り上がっているのが見てわかります。これがまさに、かつて断層が動いたことを示す証拠だということなんです」

 札幌から車でおよそ1時間の長沼町。水田の先には土地が盛り上がっている様子が確認できます。ここにも高さ数メートルの隆起の痕が。

 隆起を引き起こしたのは「石狩低地東縁断層帯」です。美唄市から岩見沢市、長沼町、千歳市、そして安平町へとまたがり全長66キロにも及びます。国の研究では最悪の場合マグニチュード7.9の地震を引き起こすとされています。

 この活断層の活動周期は、1000年から2000年とみられていて、すでに300年ほど前に活動した形跡があるといいます。しかし、油断はできないと専門家は警鐘を鳴らします。

 広瀬亘主査:「最大の地震だけが起きるわけではなくて、もっと小さい地震は割と周期に関係なく起きることがある。大きい地震が最近あったから大丈夫と安心するのではなく、備えは忘れてはならないと思います。」

 胆振東部地震で液状化に襲われた堤さん一家。あの日から水を入れたポリタンクを家の中に常備しています。

 堤浩章さん:「手に持ったまま外にでられるくらいの場所に置けるだけでも違うかなと。」

 いつでも起こり得る大きな地震を前に、私たちが唯一できることは「備え」です。

 堤浩章さん:「漠然とした不安はみんな抱えていると思うんですけれど、対策していくことで不安を和らげることは大事なんじゃないかと思います」

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