ヴァイオリンソナタ ト長調

2024/04/28 に公開
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ヴァイオリンソナタ ト長調
0:03  1.アレグロ・マエストーソ
7:50  2.アンダンテ・カンタービレ
13:50  3.アレグロ・アジェヴォルメンテ
18:26  4.アレグロ・ピアチェヴォーレ

2024.04.07
野方区民ホール 森田正徳作曲個展「音術士の饗宴」より

作曲:森田正徳
ヴァイオリン:塩川翔子
ピアノ伴奏:若杉友恵
ピアノ調律:藤本真己人
撮影・編集:株式会社ボクスグラフ

ヴァイオリンソナタ ト長調
四楽章構成。堂々とした第一楽章、緩徐楽章の役割も含む第二楽章、楽しい舞曲のような第三楽章、軽快な 締めの第四楽章。30代最後の作品。
第一楽章
ソナタ形式。4分の4拍子。
掲示部(1~78) 第一主題導入8小節の大楽節はヴァイオリン→ピアノに受け継がれ17小節から掛け合いが始まる。24小節か らヴァイオリンが歌い出し、属調の第二主題に入る。今度はピアノから歌い出しヴァイオリンはピチカート で合いの手を打つ。しばらく掛け合いが続いたのちにヴァイオリンの16分音符が駆け巡り終始を迎える。 展開部(79~116) 接続部の展開、ニ短調(属調の同主調)の後に第二主題の展開(反行)がヘ長調で現れる。連続8度のパ ワーコードで進むこの部分は第一楽章で最大の盛り上がりを見せる。その後に接続部となるカノンを挟み今 度は原調の下属調(ハ長調)で先程の第二主題の展開(反行)が現れるがヴァイオリンとピアノが逆になっ ている。
再現部(117~194) 第一主題は展開部を引き継ぎ下属調のハ長調。第二主題は掲示部と同じ流れのまま下属調の属調(原調)に 還り終結。
第二楽章
複合二部形式。ニ長調2分の2拍子。叙情的なA(aba)部と軽快なB部に分かれる。 Aは緩徐楽章らしく緩やかに歌われるが属調のイ長調を経て平行調の深刻な雰囲気の嬰ヘ短調(b)へ移 る。その後ハ長調で再びaが戻ってきて急速化するアルペッジョを経てスケルツァンドのダンスBが始まる。 最後はピアノから主題A(a)に戻り終止。
第三楽章
ハ長調8分の6拍子。導入はピアノでケルト風の主題Aが奏されヴァイオリンに引き継がれる。主題Bはト長 調でまたピアノから入る、この主題はヴァイオリンに引き継がれモルダントやピチカートを駆使して彩りが 与えられそのままヴァイオリンで接続部を経て主題C(ト短調)に入る。その後平行調の変ロ長調で主題A に還る。199小節からこのAが展開され雰囲気がガラッと変わり音域も拡がりを見せる。4小節のヴァイオ リンのトリルを経てト長調の接続に入るが、ここで4連符が出てくることで徐々に急速感が出てくる。主題 Bの展開を経て終結部に入るがここでグリッサンドやピアノ最高音Cからの跳躍下降など音のパーティーが始 まり最後はヴァイオリンのグリッサンドで締めくくる。
第四楽章
リトルネッロ形式。4分の2拍子。 ヴァイオリンソロでカントリー風の主題Aから始まる。経過句を経て明るい上行形の主題Bが現れる。続く 経過句でニ長調に転調し主題ABが始まる。次の経過句で属調(イ長調)に転調しピアノの主題A→ヴァイオ リンの主題Bと続く。Bの後半で属調のホ長調に転調、その後ヴァイオリンソロから終結部に入るロ短調 (属調の同主調)に繋がる。これが平行転調し終結部に繋がる主題Bに入る。このBは反行で展開し終結部 は8分の6拍子に変化して明るく快活に終わる。この終結部はアコーディオン奏者Josef Stump(1883- 1929)のS'Vreneli anno (1911)をアレンジしたもの、あまり知られていない過去の偉人の名曲も埋もれ ずに知って欲しいという意図もあり締めに盛り込ませていただいた。