新年度に入って各地で地震が相次いでいます。3日には台湾付近を震源とする地震で、沖縄に津波が到達。現地では“震度6強”の激しい揺れで大きな被害が出ています。さらに8日午前には宮崎県で最大震度5弱の地震が発生しました。台湾、そして宮崎の地震、共通点は「フィリピン海プレート」です。社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース】
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■宮崎で“最大震度5弱の地震” 震源近くには「南海トラフ地震想定震源域」
4月8日午前10時25分頃、大隅半島東方沖を震源とする地震があり、宮崎県日南市で震度5弱、串間市と鹿児島県の大崎町、錦江町で震度4の揺れを観測しました。地震の規模を示すマグニチュードは5.1、震源の深さは39キロです。
この地震の震源は、将来発生が懸念されている「南海トラフ巨大地震」の想定震源域のすぐそばです。専門家は今回の地震の震源が想定震源域から外れていること、発生した地震の規模が小さいことなどから、南海トラフ巨大地震に与える影響は小さいとみています。
しかし気象庁は、今後1週間程度は同じ規模の地震に注意するよう呼びかけています。
■国内では“震度5弱” 地震も震度1以上の地震51回
4月1日から7日までの期間、国内では震度1以上の地震が51回発生しました。
▼2日午前4時24分頃、青森県八戸市や岩手県宮古市など9市町村で
震度5弱の強い揺れを観測する地震がありました。震源は岩手県沿岸北部、マグニチュードは6.0、震源の深さは71キロでした。岩手県沿岸でマグニチュード6以上の地震がおきたのは1987年1月におきた盛岡と大船渡で震度5を観測した地震以来です。
▼2日午後5時24分頃、石川県輪島市で震度3の地震がありました。
震源は石川県能登地方、マグニチュードは3.7、震源の深さは8キロでした。
▼3日午前8時58分頃、沖縄県与那国町で震度4、石垣市と竹富町で震度3の地震がありました。
震源は台湾付近で地震の規模を示すマグニチュードは7.7、震源の深さは23キロでした。
▼3日午前10時56分頃、石川県穴水町で震度3の地震がありました。
震源は石川県能登地方、マグニチュード3.6、震源の深さは10キロでした。
▼3日午後0時34分頃、千葉市若葉区と長南町で震度3の地震がありました、震源は千葉県北東部、マグニチュードは3.7、震源の深さは29キロでした。
▼4日午後0時16分頃、宮城県石巻市や福島県相馬市などで震度4の揺れを観測する地震がありました。
震源は福島県沖でマグニチュードは6.3、震源の深さは44キロでした。
▼5日午前5時32分頃、
北海道厚真町や浦河町などで震度3の地震がありました。震源は浦河沖、マグニチュードは5.0、震源の深さは66キロでした。
▼6日午前9時12分頃、
岩手県盛岡市で震度3の地震がありました。震源は青森県東方沖で地震の規模を示すマグニチュードは5.5、震源の深さは17キロでした。
■予想高さ3メートル、沖縄に津波警報
3日午前8時58分頃、台湾付近を震源とする地震で日本国内では沖縄県の与那国町で震度4、石垣市と竹富町で震度3の揺れを観測しました。震源は台湾付近で地震の規模を示すマグニチュードは7.7、震源の深さは23キロでした。
気象庁は宮古島・八重山地方と沖縄本島地方に津波警報発表(予想される高さは3メートル)、与那国島・久部良と宮古島・平良で30センチ、石垣港で20センチの津波を観測しました。
■台湾各地で揺れを観測 震源に近い花蓮では“震度6強”
日本の気象庁にあたる、台湾の中央気象署が発表した各地で観測された震度です。ほぼ全域で揺れを観測、震源に近い花蓮県では震度6強や6弱の揺れとなっています。また東部を中心に震度5弱の揺れを観測しました。台湾の震度階級は日本と同じ、震度0から震度7までの、さらに震度5と6には、それぞれ強弱があり10段階で発表されています。台湾当局は地震の規模を7.2と発表しています。
■「フィリピン海プレート」と「ユーラシアプレート」境界に位置する台湾
台湾では1999年9月にも死者2400人以上の台湾大地震など大きな地震が繰り返し発生しています。台湾は東側から「フィリピン海プレート」が陸のプレートの下に沈み込んでいる一方で、台湾の南部では陸のプレートも沈み込んでいて非常に複雑な地質となっています。島の中央部には標高3000メートルを超える山々が連なっていて、断層も多く地震が多く発生しています。
先週、南海トラフ地震に関する気象庁の検討会が開かれました。台湾は、南海トラフ巨大地震を引きおこす「フィリピン海プレート」の西端に位置していますが、南海トラフ巨大地震の想定震源域まで距離が離れていることや、日本国内の研究機関の観測データに変化がないことから、台湾の大地震が南海トラフ巨大地震へ与える影響はないという見方を示しています。
■台湾大地震発生以降、余震活動は北側に分布
2014年以降の台湾でおきた地震の状況です。特に台湾の東海岸で多くの地震がおきていることが分かります。3日におきた大地震以降は、その北側で余震活動が集中しているということです。
■地震発生直後から、“快適に過ごせる避難所”設営
大きな被害を受けた花蓮市にある避難所では、中に大きなテントが整然と並べられています。避難してきた人のプライベート空間を守るつくりになっていて、テント1つにつき最大で6人が寝泊まりできます。Wi-Fi環境も整っているほか、外には温かい食事をとれるスペースも用意されていて、こうした充実した避難所、地震当日にはすでに設営が始まっていたということです。
地震の専門家で、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは、「少しでも快適に過ごせるような配慮が施された避難所の運営や、倒壊したビルの迅速な撤去作業などの復旧に向けた動きが速い。私たちも見習う点が多い」と感じたといいます。
(2024年4月8日放送)
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