「多くの命を預かる立場なのに基礎的な注意事項守らず」元運転手に禁錮2年6か月の判決=静岡・小山町29人死傷バス横転事故

2023/09/26 に公開
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2022年、静岡県小山町で観光バスが横転し、29人が死傷した事故。過失運転致死傷の罪に問われている元運転手の男の判決公判が9月26日開かれ、静岡地裁沼津支部は、禁錮2年6か月の判決を言い渡しました。

<中西結香記者>
判決公判は、地裁沼津支部で午後2時から開かれ、10分ほどで終わりました。元運転手の男は、黒いスーツ姿で法廷に入ると、検察側に座る遺族や傍聴席に向かって深く頭を下げました。

その後、かたい表情で証言台の前の椅子に座り、判決を言い渡された瞬間は背筋を伸ばして裁判官のほうを真っすぐ見ていました。<滝澤悠希アナウンサー・2022年10月>
「事故を起こした観光バスが、レッカー車によって運ばれてきます。フロントガラスは粉々になっていて、事故の衝撃の大きさを物語っています」

2022年10月に小山町須走のふじあざみラインで発生した観光バスの横転事故。観光バスを運転していた男に2023年9月26日、判決が言い渡されました。判決を言い渡されたのは、埼玉県飯能市の会社員の男(27)です。判決によりますと、男は2022年10月、観光バスで富士山の須走口五合目から下る際、フットブレーキを多用したことでブレーキが利かなくなる「フェード現象」を生じさせた結果、バスを横転させ、女性1人を死亡、28人に重軽傷を負わせました。今回の裁判では、男が起訴事実を認めていたことから、刑の重さそのものが焦点となっていました。

26日、地裁沼津支部で開かれた判決公判で、野澤晃一裁判官は、「観光バスの運転手として多くの命を預かる立場にありながら、基礎的な運転上の注意事項を守らずに本件事故を起こしていて過失の程度は重い」とした一方で、「事実を認め、反省している」ことなどから禁錮4年6か月の求刑に対し、禁錮2年6か月の判決を言い渡しました。

男は、これまでの被告人質問でフットブレーキを多用した理由について「フェード現象は知っていたが、身近なものに感じていなかった」、「ギアを低速にすると揺れが激しくなるため、乗客の乗り心地を考え4速で下った」などと話していました。今回の事故を受け、小山町須走のふじあざみラインには2023年4月、エンジンブレーキによる減速をドライバーに呼びかける看板や道路標識が設置されるなど再発防止の対策が進められています。

<中西結香記者>
求刑よりも軽い判決になったことについて裁判官は、一部の被害者の間で示談が成立していることなどをあげました。

この事故で亡くなった女性の息子は、先日の意見陳述で「今回の事故で何かが変わり、事故再発防止に繋がることを願う」と話しました。

今回の事故はバスの運転手に限らず、車を運転する誰もがブレーキ操作を誤れば起きてしまう事故です。

私たちが今回の事故を自分事として考え、一層責任を持って運転することが事故による被害者をこれ以上、生まないことに繋がります。

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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbs/743379