MVP受賞の裏で脅しのメッセージも…“転落”経緯…水原一平容疑者を訴追【報道ステーション】(2024年4月12日)

2024/04/13 に公開
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メジャーリーグ・ドジャースの大谷選手の元通訳・水原一平容疑者(39)が、訴追されました。公開された訴状では、胴元との生々しいやり取りが、いくつも明かされています。

米連邦検察 エストラーダ連邦検事
「数千件の通信や電話記録、銀行口座の記録を確認し、複数の関係者へ聞き取りを行い、徹底的に捜査した」

大谷選手の被害額は、24億5000万円以上と明かされました。

米連邦検察・エストラーダ連邦検事
「大谷氏から1600万ドル(約24億5000万円)以上を盗んだとして、水原容疑者を“銀行詐欺”の容疑で訴追した。水原容疑者は、大谷氏の信頼を悪用し、口座から1600万ドル以上を奪った。そして、違法なスポーツ賭博への飽くなき欲求を満たしていった」

当局によりますと、水原容疑者の賭博の回数は、約2年間で1万9000回、1日平均25回に上ります。平均賭け額は約196万円、1回で2400万円以上を賭けたこともあったそうです。

水原容疑者は、なぜ大谷選手の口座に自由にアクセスできたのでしょうか。

米連邦検察 エストラーダ連邦検事
「水原容疑者は、賭けを始めると同時に大谷氏の口座に手を出した。彼は、大谷氏の口座開設を手伝っていたのでアクセスできた。水原容疑者は、口座にアクセスできたが、大谷氏の代理人や会計士などのアクセスを拒否した。『大谷氏が、口座を内密にしたいと言っている』と説明していた。水原容疑者が賭博で勝ったときは、配当金は大谷氏の口座ではなく、水原容疑者個人の口座に振り込まれていた」

こんな大胆な行動も…。

米連邦検察 エストラーダ連邦検事
「水原容疑者が大谷氏になりすまして、多額の送金を指示した音声は一つにとどまらない」

捜査当局は「大谷選手は被害者だ」と強調。水原容疑者との通信記録に賭博に関する話はなかったと説明しました。

米連邦検察 エストラーダ連邦検事
「大谷氏は被害者であるとみている。大谷氏が口座から胴元へ1600万ドル超の送金を承認したと示す証拠はない。大谷氏の供述では、送金指示も水原容疑者が自身の口座にアクセスする許可も出していない」

水原容疑者は、スポーツ賭博にどうのめり込んでいったのでしょうか。

米連邦検察 エストラーダ連邦検事
「2021年に水原容疑者は、違法賭博につながる胴元集団のもとで、スポーツ賭博を始めた。賭け金は時間の経過とともに
大きくなっていった。水原容疑者と胴元との間の通信では、水原容疑者は賭けでかなりの金額を失っていたが、その後も数千回にわたり賭けを続けた」

37ページにわたる訴状で明かされた水原容疑者と胴元側のやり取り。

水原容疑者は胴元に、信用で賭けられる上限額の引き上げを意味する“バンプ”を要求していました。

水原一平容疑者(2022年3月6日ごろ)
「ところで、もう少し“バンプ”してもらえませんか?僕の負け分は水曜に送金します。大金を送るためには、もう1週間待ってもらいたいです」

水原一平容疑者(2022年11月14日ごろ)
「またバンプしてくれませんか?知っての通り、僕が金を払わないことを心配する必要はない!!」

大谷選手の口座からの送金だとほのめかしているのでしょうか。まだ止まりません。

水原一平容疑者(去年6月22日ごろ)
「最後にもう1回、バンプは可能ですか?」
胴元
「毎週“最低50万ドルの送金”を保証できるなら、君の望む金額まで増やせるよ」

水原一平容疑者(去年6月23日ごろ)
「僕は最低です(笑)。勝ち筋が見えない。これが最後のバンプになることを約束します」
胴元
「OK。問題ない」

水原一平容疑者(去年6月24日ごろ)
「問題発生です(笑)。最後の最後の最後のバンプできませんか?」

バンプを際限なく繰り返したとみられる水原容疑者。しかし、去年11月、胴元側の態度が急変します。

胴元(去年11月17日ごろ)
「やあ、イッピー、金曜日の2時だよ。なぜ電話に出ないんだ?ニューポートビーチに来ているんだけど、(大谷氏が)犬の散歩をしているのを見かけたんだ。どうしたら連絡が取れるか聞いてみようと思ってね。すぐに電話をくれ」

前日に存在が公になった大谷選手の愛犬を話題に出し、水原容疑者に支払いを要求する脅しをかけました。

水原容疑者が賭博で負けた総額は約280億円。勝った額を差し引いても約62億円の損失でした。

米連邦検察 エストラーダ連邦検事
「胴元ーの一人とのメッセージの中で、水原容疑者は大谷氏から盗んだことを胴元に認めている」

捜査では、こんなことも明らかになりました。
水原容疑者の車の中から、約1000枚、4900万円分という大量のアメリカで人気の野球カードが見つかったのです。一部は開封されていて、保護ケースに入っていました。

水原容疑者は、大谷選手の口座の金を使って、『Jay Min』という偽名で購入し、ドジャースのクラブハウスを送り先にしていたといいます。希少なカードは高額で取引されるため、水原容疑者が転売目的で購入していたとみられています。

ソウルでの開幕戦以降、消息が途絶えていた水原容疑者。直後にロサンゼルスに帰国していたことも、新たにわかりました。

この問題を取材してきたニューヨーク・タイムズの記者は、水原容疑者が司法取引に応じて容疑を認めるのではないかと話します。

ニューヨーク・タイムズ ティム・アランゴ 記者
「この犯罪の最高刑は30年だ。しかし、司法取引の交渉の中で、彼らは6年から10年の判決を話しているようだ」

水原容疑者は、日本時間13日にロサンゼルスの連邦裁判所に出廷する見通しです。


◆『銀行詐欺の疑い』ということですが、なぜこの罪が適用されたのでしょうか。

カリフォルニア州弁護士の村尾卓哉さんに聞きました。
「他人になりすまし、銀行や銀行員を騙して、送金させたときなどに銀行詐欺罪が適用される。今回は、社会全体を支えるインフラの信頼性を毀損した犯罪なので、禁錮刑30年という重い罪での訴追になった。ただ、水原容疑者は、罪を認めるという司法取引に応じる可能性も。裁判が早く終わり、刑も軽くなる。それでも5年以上の実刑は免れないのでは」といいます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp