【脳科学の達人】土谷 尚嗣【第38回日本神経科学大会 市民公開講座】

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第38回日本神経科学大会市民公開講座「脳科学の達人」
http://www.neuroscience2015.jnss.org/open_lecture.html

【要旨】脳と意識にはどのような関係があるのだろうか? この問題は、マインド・ボディ・プロブレムと呼ばれ、過去何千年にわたって哲学者が論じてきた問題だ。脳と意識の関係性と言われると難しいかもしれないが、この問題の本質を考えるきっかけは、日常に多く転がっている。 私たちが死ぬ時には脳の働きがなくなるはずだが、そのとき意識はどうなるのか? 眠る時と同じように意識がなくなるのか? 自分の感じる痛みや匂いはなぜ脳から生じるのか? どういうメカニズムが音の感覚を生み出し、なぜ音と光は異なって感じられるのか? 自分が飼っているネコや犬も私たちと同じように魚や肉を味わっているのか? 虫もそうか? 木や草は? 賢いロボットは?
脳と意識の関係性という問題に対しては、根本的な答えが見つからないと考えている哲学者や科学者なども世界に多くいる。しかし、この25年間にわたる、神経科学による意識研究の進展はめざましく、多くのことがわかってきた。意識にのぼる神経活動とのぼらない活動の違い、意識と密接な関わりがある様々な心理現象(自意識、注意、記憶など)と意識の関係など。最近では、コペルニクスのようにこれまでの常識をくつがえす、今までの意識に関する脳科学的知見を統合する理論も提唱されている。 大きな進展の一方で、まだまだ脳と意識の関係性にはわからないことも非常に多い。マインド・ボディ・プロブレムを身近に感じてもらい、今後の意識研究の動向に興味を持っていただけたなら、私のトークは成功だ!

【演者プロフィール】京都大学ではラクロスに明け暮れる中、脳に関する本を読みあさる。大学3年の時にアメリカの研究室をアポ無しで訪れ、様々な教授に世界的に成功する科学者にはどうなったら良いのかを聞いて回る。カリフォルニア工科大学でマーク・小西教授に「大学院でアメリカに来なさい」と言われ、留学を決める。受験したすべての大学院に落ちるも、裏口入学(!)に成功。カリフォルニア工科大学で10年を過ごしたあと、JSTさきがけを経て2012年からオーストラリア、モナシュ大学にて准教授。

【企画】日本神経科学学会 神経科学教育委員会(宮川剛, 御園生裕明, 松元健二, 富田泰輔, 矢尾育子, 豊田淳, 小清水久嗣)
【主催】日本神経科学学会
【共催】文部科学省/新学術領域研究 包括型脳科学研究推進支援ネットワーク
【助成】科学研究費(研究成果公開促進費)助成事業 *この事業はJSPS科研費15HP0034の助成を受けたものです。
【協賛】理化学研究所 脳科学総合研究センター 神経情報基盤センター, カクタス・コミュニケーションズ, 宮崎 敦子(理化学研究所, 井出 音 研究所)
【音楽】一色このみ

*演者・関係者の所属などの情報は企画開催時のものです。