毒の油を口にして ~カネミ油症事件50年~

2023/12/26 に公開
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【毒の油を口にして 国内最大の食品公害事件】福岡県北九州市のカネミ倉庫が製造した米ぬか油に猛毒ダイオキシンが混入し販売された。そして、黒い赤ちゃんが生まれた。(2019年5月27日放送「毒の油を口にして ~カネミ油症事件50年~」2019年「地方の時代」映像祭 選奨受賞)

「カネミ油症事件」は1968年に発生した、国内最大の食品公害事件。北九州市のカネミ倉庫が製造した米ぬか油に混入していた猛毒ダイオキシンが、福岡、長崎を中心とした西日本一帯で多大な健康被害をもたらした。被害を訴えた人は当時約1万4,000人にものぼる。カネミ油症はダイオキシンを口から摂取するという前代未聞の出来事で、その症状は多岐にわたる。またダイオキシンは体内から排出されにくく、被害者の健康被害は今なお続く。被害の拡大を防ぐべきだった国は、初期の対応を失敗して被害を深刻化させたが、裁判で結局その責任が認められなかったために、今、この問題への対応は極めて消極的だ。さらには、認定制度によって多くの被害者が未認定として救済から切り捨てられている。加害企業カネミ倉庫は小さな会社で、その補償は被害者を救うには全く不十分だ。そして、油症被害者の親から生まれた次世代の子ども達にも様々な健康被害は起き、その救済がこれからの最大の問題となる。油症事件発生から半世紀。今なお苦しみの中にある被害者たちが置き去りにされている。